「ケイズシネマ」で行われた舞台挨拶付きの上映を鑑賞してきました。本作は2021年に上演された舞台を牛丸監督が映画化したものだそうです。
養鶏場に嫁いだ優子(佐々木心音)が主人公で、夫の不倫相手を職場に雇ってしまったところから話が進んでいきます。このあらすじからも期待してしまいますが、想像以上に面白かったです。
先の読めない展開と、一癖あるキャラクターたちの言動に一時も目が離せません。養鶏場が舞台とあって、鶏の卵と人間の生殖をかけたストーリーも秀逸です。
キャストの中でも主人公を演じた佐々木心音が素晴らしくて。菩薩のような慈愛に満ちていて信念を貫く女性を見事に体現していました。
籠の中に閉じ込められ、ひたすら卵を産み、役割りを終えれば、食肉として処分される鶏たち。人の世にしても役割を押しつけられて、籠の中で自由を奪われる人たちは大勢いる。単なるブラックコメディにとどまらないアイデンティティの重要性を問う素晴らしい作品でした。
