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ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディのkoumeiのレビュー・感想・評価

3.9
全寮制の高校で冬休みに家族のもとに帰る学生たちの中、不遇な主人公が学校にホールドオーバー=置いてけぼりにされ留まることになり、同じように少し不幸な教師と給食係の女性と3人で過ごす中で友情が芽生える話。
後半で主人公たちが自分の過去や病気など弱みをさらけ出すことで成長していくのが素晴らしい。
舞台は1970年代で、映画も70年代っぽく見えるよう趣向が凝らしてあり、現代から見て「過去」の話であるように見せたい意図を感じる。
話の中で歴史の話がよく出てくるので、過去=歴史から学べ、というメッセージを感じる。
一方で、そういった過去に縛られることなく今や未来を生きろ、というメッセージにもなっている。
クリスマスプレゼントに教師がアウグスティヌスの自省録を渡し、給食係がお返しに何も書かれていないノートを渡し自分のことを書け、と言っているのは、過去から学びつつ自分の人生を生きろ、ということ。

給食係の息子がベトナム戦争に駆り出されるのと戦争に行かず温かいベッドで寝られる裕福な生徒たち、というのは格差社会を表現しているし、そういう格差がある中でも自分の人生を生きようというメッセージだった
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