紅の猫

YOSHIKI:UNDER THE SKYの紅の猫のレビュー・感想・評価

YOSHIKI:UNDER THE SKY(2023年製作の映画)
4.0
「自分は絶対に諦めない。なぜなら僕たちのファンは絶対に諦めないと知っているから」
今までYOSHIKIの旋律やTOSHIの声に勇気づけられ、辛い時でも踏ん張らせてくれた。
そんなYOSHIKIからのメッセージは嬉しくて涙が出てきた。

当初はパンデミックの中で、それぞれが離れ離れになってしまっている状況を音楽で繋ぐというようなコンセプトだったと思う。YouTubeで公開されるはずだったが、感染拡大を受け、YOSHIKIの誰にも感染リスクは冒させないというスタンスにより編集作業が全面停止しされ公開が延期されていた作品。
公開時期がずれたことで、作品のコンセプトがパンデミック下での人々の繋がりから、YOSHIKIが音楽で紡いできた繋がりを形にするという方向へ変更されたように感じた。
欲を言えば、当初のスタンスでパンデミックによる閉鎖状態の時に世に出ていたほうが作品の価値は高かったとは思う。

では、この映画が公開された、パンデミックからポストコロナへと移り変わる世界で必要なことはなんだろうか。
この映画の回答は「縁」だと思う。

映画は参加アーティストとYOSHIKIの関係性が語られ演奏シーンへと繋がる構成となっているが、ラストは病気で妻を亡くされた方とYOSHIKIの会話が中心になっていく。
社会全体に呼びかける作品から、YOSHIKIが紡いできた縁を中心に描くパーソナルな作品に変わたことで人と人が繋がることの尊さがじんわりと感じられる映画になった。

X JAPANのラストライブでTOSHIが、「同じ時代に、同じ様な痛みを持った、同じ様な傷を持った、同じ様な寂しさを持った、同じ様な孤独を持った仲間がひとつの音楽を通して出会いました。そのバンドの名は、XJAPANです。」と語ったが、ずっとYOSHIKIはそれを続けていたんだなと思うと涙が出てきた。

人は一人じゃない。直接会うことは無くても一人じゃない。今までの出会い全てありがとうと言いたくなる作品だった。

これはわからないけれど、ENDLESS RAINは世界のみんなで歌うという趣向になっていたが本当はTOSHIのために取っておいた席なんじゃないかと思った。
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