本作のロケ地は実は僕自身の生家のある地域が含まれると前持って知っていたので、帰省に行くような気分で映画館に向かった。
本編を観たら更に驚く。立沢地区、含まれるというより全面的に主な舞台だった。
最初のシーンが森を見上げた視点だったが、全くもって自分の子供の頃見たそのまんまで、思わず木の種類を探ってしまった。赤いのはアカマツ、黒いのはカラマツだと懐かしく思い出す。やはりそれは子供の目線だった。鳥の羽根はヤマドリのものだ。秋には美味しいキノコが獲れる場所。
僕の生家は立沢にあった母の実家だったが、僕の実家は立場川の下流にあり、そこまで行くと何十年も前と言えども農薬でヤマメはとっくに住んでいなかった。奇しくも農薬で環境破壊をしてしまったのは、地元の人々だったんだ。でも立沢地区まで登れば、今でもまだヤマメが泳いでいるのではないかと思う。
終盤の衝撃的な展開は、夢かうつつかと思いながら見た。人は欲目でしか動かないけれども、自然は無抵抗だ。もしも自然に意思があったなら、どうなっていた事だろう。
僕にとっては東西南北が手に取るようにわかる、世にも稀な映画だった。