マーフィー

悪は存在しないのマーフィーのレビュー・感想・評価

悪は存在しない(2023年製作の映画)
4.3
2024/05/04鑑賞。

「オレハ、ベンリヤ。コノマチノ。」

全体を通して音がとても気持ちいい。
薪を割る音、雪を踏み締める音、枝が踏まれて折れる音、タバコが燃える音。
ゆっくり流れる生活のシーンに、気持ちのいい音。
これだけで映画館で見てよかったと思える。

ビデオ通話の画面で会話を映して、そこに高橋は映ってなかったり、
車のシーン、バックミラー越しにわずかに映る顔だけで2人の顔は直接映ってないとか、
そういう表情を隠した会話シーンが印象的だった。


ハッピーアワーもそうだったけど、
小津調を思わせる正面バストショットの会話をちょこちょこ使う監督なんだなと思った。だいたい食事シーン。
謎の味がある。


演技が棒読みっぽいのは別に問題ないんだけど、
花役の西川玲さんが良過ぎたから、結果的に全員食ってしまってるなと思った。
顔立ちから演技力まですごく画になる俳優だと思う。
「バランスが大事」



説明会のシーン、やな感じがすっごいする。上手い。
映像見せる時、スクリーンに体が被ってるのに避ける気がない。この見せる気ないやろって感じ。
そして質問者が話してる時に水を飲む
しかもまさに質問者が水の話をしている時にミネラルウォーターを飲む。
返答だけでなく、何気ない仕草などが全て悪く作用してるし、向き合ってない感じが全面に出てて良い。

質疑応答自体はハッピーアワーの朗読会イベントみたいなヒリヒリ感というか、没入感はあまり感じられなかった。
逆にハッピーアワーのあのリアルな感じはどういう要素がそうさせていたんだろうか。


「都会から来た人はここにストレスを投げ捨てに来るんです」
って見事な表現だなと思う。
グランピングは「非日常体験でリフレッシュ!」「息苦しい都会から離れてリフレッシュ!」みたいなところが目的だと思うけど、裏を返せばそういうこと。
汚れた水だけでなく、ストレスもここに投げ捨てられるといえる。
そりゃルールを守らない人も出てきそう。


黛役の渋谷采郁さん、ハッピーアワーの人か。
どっかで見たことあると思った。
どっかで見たことあるなと思ってたうどん屋の亭主役の三浦博之さん、こちらもハッピーアワーだった。












じいさん、もはやその距離ではマイクが音拾ってないでしょ。

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