【長々語りたくなる映画】
序盤は巧の棒読みが気になってしまったけど、そういう手法だったんですね。
でも途中から全然気にならなくなった。こういう人いるよなーと。
独特の間とか立ち振る舞いがリアル。
確かにあの終わり方は唐突でびっくりしたけど、観終わったあとの余韻がすごい。実際いろんな方がいろんな見方を発信してるし、これを含めてこの作品の凄さだなーと思う。
トレンド入りするのもうなずける。
インタビュー記事や考察動画などをいろいろ観た。
ほかの作品だとけっこう他人の意見に左右されそうになることもあるけど、今回はそこまでなくて、素直に同意できるところとそうじゃないところがはっきりしていた気がする。これも自分的にはおもしろかった。
前半の「何見せられてるんだろう」感が後半にしっかりつながっていてすごい。
何気ないシーンも、後から思い返すとはっとするところだらけ。
この感じがちょっとPERFECT DAYSっぽいなと思いました。
インタビュー記事で「「どっちとも言えない」という視座を丁寧に描くこと」とおっしゃっていて、まさにそれだ!!!となりました。
https://www.cinra.net/article/202404-hamaguchiryusuke_gtmnm
(あと、このインタビューの中であの血のカットがもしかして解釈と違うのか?って流れがあって気になってます。でも自分的正解を導き出せない。。)
▼語りたいところ盛り沢山なので、とりあえず書き連ねます(後半に行くにつれてややネタバレかもです)
・ゴダールっぽいオープニングのタイトルのロゴ。そして赤字のNOTを後出しする感じ
・↑に関連して、青と赤の対比。
青:NOT以外のタイトル、水場、空、巧と花のアウターや帽子
赤:NOT、血、高橋のダウン、チェーンソー
序盤から最後まで、青いものは自然・美・正・善、赤いものは人工的なもの・悪・何か嫌な予感を感じさせるもの・よそもの ってイメージをつけている感じがする。
・高橋と黛の車中の会話がいいなと思っていたけど、この「会話術」は濱口監督の十八番なんですね~
この二人が完全に「悪」だったふたりが、ここで「おや?違うのかも」って観客に思わせる流れがスムーズでスゴイ!!
・みなさんおっしゃる通り、制作発端になった石橋英子さんの音楽の存在感。音楽がひとりの役者のよう。
美しさの中に畏怖を感じさせるところは自然に通ずる。
プツッと途切れるシーンが多くてハラハラ。。
・序盤のお迎えからの森散策でのおんぶ、だるまさんが転んだなど、横移動のカットが印象的
・ちょいちょいはさまれる笑いのバランスもとってもいい!(それ、味の感想じゃないですよね がよかったw)
・ラストはいろいろな方の解釈も見てあらためて考えたんですが…
●巧が高橋に手をかけた理由
→高橋たちがあそこで前に出てしまうと「バランスがくずれる」可能性があるから かつ、わたしは殺してはいないと思う(気絶させただけ)
●花ちゃんが帽子を脱ぐところは、集会で巧が同じことをするシーンとかぶる。
→花ちゃんは鹿に心を開こうとして歩み寄ろうとしてしまったということなのかなと思った
●ラストでの鹿は親と子1匹ずつ。何度か映る骨になった鹿はもう1匹の親なのか?
そして親と子1匹ずつというところが、巧と花とリンクする
●だいぶ日が暮れていたはずなのに、巧と高橋が花ちゃんを見つけたシーンだけ、なぜかほの明るい。
→どこからどこまでというのがはっきりわからないけど、あの一連の流れは幻想みたいなシーンなのかなと思った。ふたりがあそこにたどり着いたときすでに花ちゃんは鹿にやられていて、それを見た高橋が寄ろうとしたのを巧がスリーパーホールドして静止→高橋が気絶するまでに間に鹿はいなくなっていた みたいな
●ラストの天を仰ぐような木々の映像は、オープニングのそれとかぶる。
→オープニングのは花ちゃん目線であることがわかる。となるとラストのもそう(意識があいまいだからもやがかかっている)だと信じたい…花ちゃんを抱えて、上を見ながら歩く巧をあまりイメージできないのもある
→花ちゃんの最終的な生死はわからないけど、あの時点では「わからない」(ってことにしたいという願望もあるけど;;)
みなさんの感想も引き続きいろいろのぞいてみます。
濱口監督の作品はこれが初めてだったので、ほかのも観てみたい!!