Takky

悪は存在しないのTakkyのネタバレレビュー・内容・結末

悪は存在しない(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

ワンカットの薪割り、ドライブレコーダーのような後ずさりドリーショット、淡々とした山里の営みに、違和感のある視点での映像が印象的。
そして何よりラストについてとても語りたくなる映画。

水は上から下へ…の話やうさんくさいコンサルと形だけの住民説明会などは目新しいものではなく、大事なはずの湧き水はそんなとこの汲む?普通はもっと岩肌や山の斜面から湧き出た自然にろ過された伏流水使わない?とかよくよく考えたら小さな疑問点もあるけど(これは実際の水源を明かすのはトラブルのもとだから地元住民に反対されあの場所になったそうだけど)、自然と人間、都会と地方、善人と悪人など二元論的に語られがちな話をそうはせず、面白く鑑賞した。

ラストについては、最初、あんなオレンジの派手な上着を着て騒ぎ立てようとしてる高橋を鹿の目線から外し、鹿を興奮させないようにしてるんだと思った。
手負いの鹿は何をするかわからないから、被害を最小限にするためのとっさの判断。
愛する娘すら、目の前で守れない(守らない)という判断をするのが自然の中で生きるということなのか、そこまでの覚悟があるというのはある意味狂った人間にも見えてしまうのか…と。

ただ、いろんな人の考察をみて、彼を殺そうとしてた?という人が多く、私はそうは思えなかったけど、反芻してみると、上記のように判断して高橋をかばったが、目の前で娘が手負いの親鹿(?)に襲われているのをみて、鹿と同化するかのごとく、自分も娘を傷つけられた手負いの人間として覆いかぶさる力が強くなってしまったのかな…と思った。

とりあえずもう一度映画館に行こう。
Takky

Takky