『ハッピーアワー』を初めて観た時に「いったいどうやったらこんな映画が作れるんだ?」って思ったけれど、今作もまた同じように思いながら観てた
ほんとに凄すぎた
所々、まるでドキュメンタリーを観ているかのように違和感ない役者さんたちの佇まいや会話のやり取り、馴染みすぎているキャスト陣のハマリ具合は今回もさすが
(あえての棒読みなところも今作にはハマっていたと思う)
そして何と言っても会話劇の面白さ、これは秀逸すぎてもはやえぐいとまで思った
言葉選びがある意味意地悪だよね
人の痛いところ浅はかなところを絶妙に突いてくる感じが
時々ハッとさせられる
「それ、味じゃないですよね」には思わず吹いた
映像的には自然が美しく撮られていて、展開もわりとシンプルで淡々としているのに、最初からずっとどこか不穏で、何かが起こりそうな予感に終始心をざわつかせられる
その不穏さはもはやホラーなほどになんだか怖く感じる
特に多くを語らない巧とグランピング施設会社の二人のやり取りにはずっとハラハラさせられるのだが…
(私にはこの巧の寡黙さぶっきらぼうさが何よりも怖かった)
ラストの衝撃はもう、とんでもなくて、呆気に取られたような置いてけぼりにされたような気持ちになって、どう受け止めれば!?となるのですが、だからこそ心から離れなくなって、ずっとずっと考えてしまいます
手負いの鹿の話を元に、自分なりに解釈しようと思えども、やはり「悪は存在しない」のタイトルが大きな引っ掛かりを残します