Asino

僕はキャプテンのAsinoのレビュー・感想・評価

僕はキャプテン(2023年製作の映画)
4.0
家族に楽をさせてあげようと、世間知らずの16歳の男の子が従兄弟とセネガルからヨーロッパを目指す話。
世の中には弱者からなにもかも力ずくで剥ぎ取っていくハイエナしかいない、といわんばかりの過酷な出来事が次々おきます。

マッテオ・ガッローネ監督(「ほんとうのピノッキオ」「五日物語」)作品なのでなんか残酷だけれども美しいおとぎ話的ななにか、を期待してしまっていたんだけれども、考えてみたら私は「ゴモラ」も「ドッグマン」も見てないんだった、と反省するなどしました。たぶん後者の方の系統なのね。「ドッグマン」見ます...。

もちろん映像的な美しさは素晴らしくて、別バージョンのポスターにもなってる砂漠と女性のカットや、夜の海底油田のシーン、あそうだもちろん冒頭の主人公の姉妹達や祭のダンスシーンの素晴らしさも忘れられない。
もっと徹底的にリアルにすることもできたでしょうけど、途中彼は何度も周囲からのさりげない手で命拾いをし、救えなかった命のことをずっと考えていたから、あの最後のシーンに繋がっていった(そしてこのタイトルがある)ということが分かり、そういう意味でずっと希望を捨てないトーンがあって見ている方の心も救われた。

ラスト、あれは本当にハピエンなんだろうか、と心配になったけれど、イタリアがまったく映らないイタリア映画として、彼らの「あのあと」を観客が想像するに違いない(そしてそれは多くのイタリア人にとって日常的な連想に違いない)というところまで考えられてあそこで終わってる気がしました。

#iocapitano
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