Rin

あの歌を憶えているのRinのネタバレレビュー・内容・結末

あの歌を憶えている(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ジェシカ・チャスティンの華麗な二度見──んんんん???これで良かったのか?と頭上にどでかい❓を浮かばせてル・シネマを出てきました。性的暴行をうけた記憶を持つシルヴィアと記憶障害を持つソールの精神的・肉体的な交流を描く物語。シルヴィアは高校時代に複数の先輩から性的行為を強要された過去があると言う。そのトラウマがあるからだろう、彼女の家の玄関扉は二重の鍵とセコム的なハウスセキュリティが実装されている。ところが、ソールの付き添いを頼まれるうちに彼女はソールと懇ろの仲になり、職場までやってきたソールに屋外でキスされてその後ベッドイン。終盤には幼少期に実の父からも性的虐待を受けていたことが彼女の口から明かされることも踏まえて、彼女が心の鍵を開けた理由がいまいちピンと来ない。そもそもトラウマがなくても、昼間に職場まで来て呼び出してキスしてこられたら私はなんこいつと思うけど。しかも若年性認知症を抱えるソールは弟の方針で家に閉じ込められていて、欲求不満を簡単に予想できてしまう状況にある。彼女の過去が本当なら警戒心を高める要因のひとつになりそうだ。さらにはシルヴィア(ジェシカ・チャスティン)よりも年上に見える風貌で、父親を想起させるようにも思える。

シルヴィアの言う性的被害は映像として示されることはないため真偽のほどは最後まで定かではない。両親はシルヴィアが昔から虚言癖を持っていたと言い、彼女のトラウマも妄想の産物とみなす。流れそのままにソールと肉体関係を持つシルヴィアの行動をどう理解すれば納得できるのか。何か見落とした手がかりがあってほしいと思うくらいモヤッてるのでわかった人いたら教えてほしい。途中から本当に彼女が生み出した偽の記憶なのかと疑い始めてしまったけど、物語的にそんなわけないよな。セックス依存症は幼少期の性的虐待被害が原因となることがあり、シルヴィアはそのケースなのかとまで考えもしたが、それも流石になさそうだ。

ラストシーンで掃除機をかけるジェシカ・チャスティンが華麗な二度見を決めてみせるところだけ好きだった。ちんたら風呂敷を畳まずにスパッと終わるところも好きといえば好きだが、本作に関してはもうちょい掃除してから終わってくれないとモヤモヤが消えないよ。
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