カトコウ

DOGMAN ドッグマンのカトコウのネタバレレビュー・内容・結末

DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

仕事終わって時間合うのあるかな?
と探したところ
一応気になってた作品がちょうどよくて観に行った

犬、たくさんの犬が観れるんか!
ということと
予告編で犬はひどい目にあいません。という触れ込みをみて

ほなら観るか?
いやでもダークヒーローとか言うてるし
バイオレンスかただ暗いのはしんどいな。

仕事連勤して日本酒いれて
退屈だったらこれ寝るなー。とか思いながら観に行った


結果
めちゃくちゃ目が覚めた

なんというかリュックベッソンの作品それなりに観てるし
もちろんLEONも観てるけど
個人的にはLEONより好き

ただのバイオレンスアクションかな?と思いきや
主役の半生を振り返りつつ
彼の人生を通して

愛と美と音楽と
絶望と狂気を観ることができて
終盤には作品イメージ通りのバイオレンスも
ちょっとあるけど

自分に刺さったのは、おこがましくも彼の半生に共感したところだった

愛を求めながら何度も何度も失望して
手元に残る唯一の無垢な愛も社会に脅かされて
その結果、美と智と虚構の世界にこそ安定を求めて
神の救いを信じてないくせに神の愛を語ったりして

まさしく狂ってる
狂ってる自分を自覚しながら
嘲り達観したような顔で、その狂いを理解できそうな相手に嬉々として話す姿

そんな彼のすべてに共感を抱きながら
それ以上に憧れと羨望を感じるのは

すべてにおいて
彼と比べたら中途半端な自分が至ってない境地だなと

絶望にしても、美や智への探究についても
すべてが中途半端な自分は
彼にすべてが及ばず

まさに、ダークヒーロー
憧れを抱いてしまう

そんな2時間の鑑賞体験だった

そんな個人的な視点はさておき


作品としても
ドラァグクィーンとしての主役の中性的な化粧と演技の美しさ
主役を中心に、登場人物のやりとりの文学的、哲学的、カジュアルな宗教的な知的な美しさ

鑑賞前には想定外のドラマパートに支えられつつのバイオレンスアクションも含めたバランスの美しさ

総じて見事なバランスの作品だなと


思いつつ
正直、犬の働きが都合よすぎてファンタジーなところもあり
そもそもバイオレンス苦手な人とか、狂った人間に許容や興味がない人には向かなそうだな。とも思うので

Only Just for meってだけの評価と思いつつも
これはマイ映画の一つだなとも思う作品でした

まあね、犬。が主題ということもありまして

ラストあたりのシーン、なんて複雑な気持ちにさせる101匹わんちゃんだと思ってしまった
カトコウ

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