アメリカニュージャージー州ニューアーク、警官に止められるトラック。運転は傷のある女装の男で後部にはたくさんの犬が乗せられていた。深夜拘置所で緊急事態があったと女が呼び寄せられる。被疑者は車椅子だったがどこも悪くないと話し、女が精神科医のデッカーと名乗り名前を尋ねると、男はダグラスだと答えた。デッカーはダグラスの幼い頃からの話を聞き始める。ダグラスは父は闘犬で生計を立てていて暴力が全ての人だったと打ち明けた。
▶︎リュック・ベッソンが監督した実話に着想を得た物語で、犬小屋で育った過去を持つ男の半生を描いている。脚本もリュック・ベッソンが担当。
壮絶な過去を持つ男の生きる糧や術が犬だった。悲しく、ある意味逞しいダグラスの半生をケイレブ・ランドリー・ジョーンズが演じ切り、と同時に犬たちの演技に心奪われる。
ここのとこ駄作の多かった(ごめんなさい)リュック・ベッソンだったが、それを打ち破った感のある内容で、ラストが希望か絶望かは観る人次第。
異色バイオレンスアクションのコピーはある意味正しいがミスリードが過ぎる。鉄板のVSマフィア的エピソードも確かにあるが、そこがメインではない。あくまでダグラスと犬たちの生き方のストーリーで、“犬を見れば人が分かる”のセリフに納得出来る人は多いだろう。
仄かな光源しかないセットにダグラスと犬が愛情を持って映されるのが分かり、単に犬と生きた人に終わらせていないストーリーとが相まって何故か心の落ち着く作品だった。