映画好きの柴犬

ぼくは君たちを憎まないことにしたの映画好きの柴犬のレビュー・感想・評価

3.9
 妻を無差別テロで失うも、犯人を憎まないと宣言した夫。メディアに取り上げられた彼を、ヒーローとしてではなく、妻を突然亡くして苦しむ普通の人として当たり前に描いている。

 そんな普通の夫になぜそんな宣言ができたのか?彼の決断にいかに説得力を与えるかかこの作品の肝になるところだと思うけど、事件から2日後にやっと妻の亡骸と対面できたシーンが見事にその役割を果たしている。ここだけは少しファンタジー掛かった演出になっていて、ちょっと浮世離れした感じだけど、それはたとえ亡骸であってもやっと妻と再会できた夫の気持ちを十分に表現しているように感じられて、それだけでこの作品は成立していると思えた。