さくぞー

52ヘルツのクジラたちのさくぞーのネタバレレビュー・内容・結末

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

原作読んでないから予告の時は何やねんそのヒゲと思ってたがなるほどね…。原作にもヒゲの描写あるのかな?ないのだとしたら見事な脚色。マジでこのヒゲのメイク(地毛?)の感じ、同じとこにヒゲ生やしてる自分からすると凄いのよ。生まれが男性であそこにヒゲを伸ばすと首の方に巻いていくし、巻かない場合も短く切って整える。あんなに身なりも人柄も仕事もしっかりしてる男性が、ヒゲだけあんな伸ばし方するかな?それこそなんやねんそのヒゲ、と。女性から見てもなんでそんな中途半端に?て思うはず。そこの違和感をあの設定に繋げたのは凄い。実際にホルモン治療したらどうなるか分からないけど、安さんの心情とかを考えるとすごく納得感があった。

そんな安さんの物語は、ホルモン治療してるとはいえ生まれが女性なキャラクターに男性をキャスティングするのは難しいし、かといって女優をキャスティングするのもストーリー的に意外性が損なわれたり、序盤はキナコに集中させたいところノイズになりかねないから難しいという、それこそ映像化不可能な要素。納得感ある演技をしてみせた志尊淳と、彼をキャスティングした人も褒めたい。
てか専務に男としてあんなにバチられたの安さんの"勝ち"だろ。JK時代も可愛い。

杉咲花は完全に成った。同一人物の3つの時期を完璧に演じ分けた。同い年として誇らしいが、法廷遊戯→市子→52ヘルツ→朽ちないサクラと似たような役柄が固まっているので、大名倒産や99.9の時くらいの明るい役での主演をもっと観たいぞ。内容はまだ分からないけど『片思い世界』に期待。
公開時期の早さだけが懸念だが、杉咲花の主演女優と志尊淳の助演男優ノミネートはほぼ確実。
西野七瀬には方言喋らせとけ。これはガチ。

ジャンプ+の読み切りかよってくらい、とにかく重い要素ミックスプレートだが、安さんの物語が切ないが展開の裏切りとテーマにも繋がっていてさすが本屋大賞。善悪?関係なく全員ゴッサムシティも真っ青なくらいすぐ暴力に走るのなんなんだよ。
愛の長い髪も、元々伸ばしていた理由があったのも暖かくて好き。ずっと個人:個人の閉じた世界での物語だったのが、ラストは町に居場所を見つけるというのも良かった。
それに似合わない爽やかなメロディラインの主題歌は非常にラストにマッチしていて良い。

映像:=====B
脚本:======A
編集:=====B
俳優:=======S
人物:======A
音楽:======A
音響:====C
【MVP】岡田安吾
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