トールキン

52ヘルツのクジラたちのトールキンのレビュー・感想・評価

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)
4.2
昨年12月に公開された「市子」で主演女優賞にノミネートされるほどの役どころと圧巻の演技力で魅力した杉咲花。わずか3ヶ月後に公開された今作でもものすごい存在感で、ただただ胸が締め付けられるような自然と涙を誘うような、そんな彼女のお芝居に最初から最後までずっと引き込まれていく。完全にミーハーで素人意見ですが率直な感想としてとにかく彼女の演技がすごい。

タイトルが「52ヘルツのクジラ」ではなく、「52ヘルツのクジラたち」という単数ではなく複数だというのがポイントと言うか個人的になるほどって思った。誰にも理解されないような苦しみを抱えて生きているのは一人ではないんだ、と。その悲痛な心の叫びはきっと誰かに届いて救いの手を差し伸べてくれる。そして救われた者はまた誰かに手を差し伸べる。誰かに親身に寄り添って共に生きる、そんな人間で在りたいというか、そういう思いで日々を生きたいと思わされた。
人は生きている以上、誰だって生きる権利があるし幸せになりたいと願っていい。何気なく淡々と毎日を生きているけどそれが当たり前じゃないんだな、とも改めて思わされる。

主演の杉咲花はもちろん、志尊淳演じる安吾の生き方にも胸が苦しくなる。そして友人、美晴役の小野花梨、街の住人である村中役の金子大地(見ている最中は誰だか分からずエンドロールで気付いた)、など周りの人たちが優しくて心が温まる。
それとはまるで対照的に、従来のイメージとはまるで違う西野七瀬の嫌な役っぷりや、真飛聖、さらに宮沢氷魚など良い意味でイライラさせられる胸くそキャラを演じてくれた。

作品の題材やテーマとしてはあれもこれもと色々な事柄をぶっ込んでいて良くも悪くも感情移入させられて重たい気持ちにさせてくれてそんなストーリー性が良かった。
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