松田

アイアンクローの松田のレビュー・感想・評価

アイアンクロー(2023年製作の映画)
5.0
凄いもん観た…!!!!
タイトルのアイアンクローは、凄まじい握力で相手の頭を鷲掴みにするプロレス技。
また、それを得意技としたフリッツ・フォン・エリックの異名だったりする。
ただしこの映画は私の心までも掴んでそのまま握り潰してしまった…!

まずこの物語自体に驚いた。
自分はプロレスファンではあるが、フォン・エリック一家が呪われた一家と呼ばれていた事等は知らなかった。
これが実際に起きた事なのか、と疑いたくなる程に過酷な現実がそこにはあった。
しかしこれは悲しい運命なんかで片付けて良いものとしては描かれてないと思った。
誰が一家に呪いをかけてしまったのか、もっといえば誰がこれを宿命づけてしまったのか…
自分の生きる運命を握られる凄まじい苦痛に悶絶するばかりだった。
人の運命をも握るその恐ろしい握力は、まさにタイトルのアイアンクローそのもの。
映画なのでレフェリーもいなければギブアップもナシ…この130分1本勝負は最早勝負ですら無く、時間いっぱいに心が潰されていった。

キャストは主演のザック・エフロンがとにかく印象的。
身体付きがもう本当に凄まじ過ぎて、プロレスラー役の説得力がハンパなかった。
ただし身体だけでなく演技も説得力抜群。
優しく真面目で家族思い。そんな性格がどう作用して起きる出来事にどう影響されていくのか、それを完全に体現して魅せたと思う。

私事だが、自分はプロレスの非日常的なとこやプロレスラーは超人みたいのが大好きで…
最近観戦から離れているものの、プロレス=非日常でプロレスラー=超人だという幻想は未だ捨てられないし、今作の舞台となる年代なんてそんな超人達が跋扈する非日常の宝庫だと思っていた。
でも描かれていたのは、人間の家族と彼等の日常、そしてそれらの行き着く先。
プロレスを映画として描いたからこそ出来る業なのかもしれない。
そんな超人達を徹底的に人間として描いたこの映画も大好きになった!
また自分の知識としては今作に出てくるもの多少知ってる程度だったので、プロレスの知識の有無は鑑賞に関係ないので誰でも問題なく観れるハズ!
誰もが観れて、誰もが心を掴まれるような威力抜群の映画だった!!!
松田

松田