りょ

アイアンクローのりょのレビュー・感想・評価

アイアンクロー(2023年製作の映画)
5.0
呪われた一家、フォン・エリック家の実話。
昔からプロレスを観てきた者としてはあまりにも有名な話。
とはいえ詳細には知らなかった事も多く、自分の記憶の範囲を大きく超えた悲劇的な家族の物語。

ストーリーも凄いし映像も音楽も素晴らしい。
プロレス映画としてだけではなくヒューマンドラマとしても秀逸。
プロレスシーンの指導もチャボ・ゲレロ・Jrが担当したとあってリアルかつ迫力があって見ごたえ十分。

物語の中心となるケビン、兄弟の中でも最も真面目にプロレスに取り組み、いつも弟達を想い、父に従順であろうとし、フォン・エリック家の尊厳を守ろうとする。
それでも一番になれなかったケビンの悲哀はいつも優しくも悲しげな眼差しに色濃く表れている。
ザック・エフロンのこの役作りと演技、おそらく寿命を削るような身体作りとトレーニングを行ったと推測できるバルキーで当時のプロレスラーを思わせる身体。
もっと称賛されても良いと思う。

もちろん他の兄弟も高い再現度と素晴らしい演技。
これから来るであろう悲劇にとてつもない落差をつけるがごとく流れる幸せな時間も鑑賞後に思い出すと涙が出る。
ケビンの感情が爆発するシーンで心を揺さぶられない人はいないであろう。
それでもラストとエンドロールで少しだけ救われる。

プロレスファンとしてはブロディが少しだけ出てきたのも嬉しいし、リック・フレアーの再現度もなかなか。
配信が始まったら一時停止してケビンがチェックしてた帳簿に載ってたレスラーの名前をじっくりと見てみたい。
一瞬だったけどアンドレの名前があったような気がする。

「とにかく攻撃力が高い作品。あなたは最後まで、受け身を取れますか?」
オフィシャルサイトに掲載された棚橋弘至のレコメンドの一文。
残念ながら僕では受け身は取り切れなかった。後頭部を強烈に打ち付けました。
りょ

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