このレビューはネタバレを含みます
映像がとにかく良かった、神経質なまでに細部までこだわり抜かれた美しさを感じる。
これをあくまで恋物語として見た時、フェリックスがあの酒を飲んでしまったのが、本当にオリヴァーをそういう意味で疑う余地がなかっただけなんだろうな、というのがいちばんのオリヴァーの失恋ポイントじゃなかろうか。毒と気づくような賢さも、毒と知っていて飲むほどの甘美さも彼は持ち合わせてなさそうだもんなあ。
オリヴァーがフェリックスに同じことされたら口移しとかしそう。
ソルトバーンの人たちがオリヴァーの見せる汚く野性的なところを欲したように、オリヴァーも彼らのその清い愚かさを軽蔑しながらも愛したんだろうなとは思う。
……でもオリヴァーは自分自身を愛されることを早々に諦めたんだなあ、というのがとても哀しかった。
種明かし以降のラストの着地は残念だったなあ……。種明かし自体がもはや野暮だし、どんどんちゃちく見えてしまったし、オリヴァーが欲しかったのって結局それだけなの？ってなっちゃった。
好意的に解釈するのなら、その失望すら織り込み済みなのかな……。
