Hoshiduru

キンキーブーツのHoshiduruのレビュー・感想・評価

キンキーブーツ(2005年製作の映画)
4.1
とにかくローラがよかった。かっこよくて美しくて綺麗で本当に燦然と輝いていて、苦しくて辛くて悔しいことばかりなのに、ピンヒールで堂々と立ち続けるローラが超絶かっこよかった。

ローラにずっと目を奪われていた一方で、主人公のチャーリーをはじめとした人達の殆どはどうしても好きになれないし、全部ローラのおかげ、ローラの寛大さと謙虚さ、そして強さのおかげでこの映画がハッピーエンドを迎えているだけ、と思う気持ちも正直めっちゃある。

ただ単に超タイプだったというのもあるけれど(特にカーリーヘアのスタイルが最高)、ローラの時々見せる諦念や、悲しそうな微笑み、勇気が見える震える怒り、全てが素晴らしかった。チャーリー(とそれを通して観客)が、今までローラが味わってきた空気に少しだけ触れることができたのもとてもよかった。

ローラがローラになった瞬間(というのは語弊があって、彼女はずっと彼女だったんだろうけれど)や、その後の、いやその前から、彼女が直面し続けたたくさんの障壁は、足のサイズや不便なヒールだけじゃなくて。自分であるという、ただそれだけのことに、あらゆる苦痛がない世界になると良いな、と心から思えた。

コミュニティの中で、理解者だけに囲まれて暮らしていけば、もしくは徹底的に隠し通せば、きっと生きづらさはここまでダイレクトにぶつかってくる事はないと思う。だからこそ、自分の世界を飛び出して、無理解や悪意に対して諦めずに、怒って、歩み寄って、あがきつづける、って本当の強さなんだろうなと思った。彼女たちのたくさんの努力があったから、作中のあらゆる偏見に対して「は?」と思えるようになってきている。本当にかっこよい。
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