うかりシネマ

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章のうかりシネマのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

アバンに原作では描かれなかった8.31が追加され、映画的に映えるよう全体にバランスよくアクションを配置している。終わらない日常はそのままに、尺を詰めることで原作では薄かったアクションシーンの印象を強めている。
別視点のシーンは「連載漫画の一話」として成立させていた部分をごっそり削ることで、後に合流する要素であることを分かりやすく誘導している。

『前章』では高校編を描くが、原作そのままでは尺が足りてないので、大胆な構成の変更が嵌まっている。
ただ、第二幕に当たるこのパートが普通の文法で考えるとかなり長く、原作未読なら構成ミスを疑うくらいに長いので、ちょっと驚いた。第二幕のラストにフックを持ってくることで、確実に『後章』を観させる効果はあるので、芸術的にはともかく商業的には完全に正解。
第一幕のクライマックスは『後章』の門出に、第二幕はアニオリで追加されるであろうデーモンズに重ねられるはずだし、とにかく構成の勝利。
原作ではネットの汚さ、右派・左派の愚かさを露悪的に描いていたが、本質はそのままに脱臭され、その悪意を第二幕で回収しており全てが綺麗。
ラストも望みどおりの終わり方で、興奮すると同時に“あれ”が映画館で観られて感動。

主演の二人は本業は歌手でありながら違和感はない。特に幾田りらはブシロ声優みたいなフレッシュさがあってよかった。あののおんたん感は言うまでもなく。
『後章』は追加されるはずのシーンが原作のラストの前と後、どちらに挟むかで印象が全く異なるが、『前章』の完璧なコントロールのおかげで不安はなく期待しかない。