レビュー王子

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章のレビュー王子のネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

前半を見て、「こういうテーマかな、それともこうかな」とあれこれ予想したけれど、どのテーマの可能性にも収束していかない不思議な映画でした。

後半は凰蘭ちゃんのセカイ系かと思いきやそういうわけでもなく、はっきりしなさがけっこう好きです。そのぶん、終わらせかたもかなりむずかしかったと思いますが、門出ちゃんが居る限り続いていくのだろう凰蘭ちゃんの明日があると思うとホッとするような終わりかたでした。(人類滅亡もおおいに期待しましたが!)

ながーーーーい回のドラえもんを見ているというと失礼なのかどうかわかりませんが、ひみつ道具(ナイショ道具)が出てきて、のび太たちの日常がすこし浮き上がって、また地に戻ってきて日常が進行していくあの感じを、4時間の長尺で見ていたような、まどマギやら進撃やらパロディがいっぱい鏤められていて、つぎはぎがワークしていく変なドラえもんをみている気分でした。最高でした。

後半はまったく出てきませんでしたが、門出の母親がヒスった毒親になったことで、逆に大学生になれて一人暮らしもできて、という(後半の大葉の居候を考えるとさすがにちょっとご都合な)展開は、個人的にかなり好きでした。描きようによっては、最初から一人暮らしという設定もつくれそうですが、ワンクッション、親が消えていくところを描くのがよかったです。

また、8.31のときに大葉の身体をハックした侵略者が、人間となって生活し、人間に拾われ、人間と恋をして、最終的に「母艦」に還ってきて、主人公級の、滅亡回避のひと仕事をするのはおもしろかったです。

ただ、人間の身体を準備なくハックするような超高度技術があるなら、今回程度の問題解決は、それほどむずかしくないだろうとも思うし、細部が気になるひとには向いていない作品だと思います。(Fエネルギーをそんなミクロに即座に利用できるなら、たとえ想定外だったとしても人間なんか相手にならないはず…)

ほかにも、あまりにふつうに順調に総理を飼いならしすぎている日本の政治組織の低闘争な薄っぺらさとか、たまたまタイムシフト前の場所に来てたまたまタイミングよく東京を離れているとか、汚染されてる東京人をふつうに受け入れる非東京人の非現実的な無頓着さとか(ふつうに東京から1ミリも出られないぐらいなのかと思った)、あれだけ駆除がバズってアプリで簡単に検知までできるようになっているのにぜんぜん駆除されない大葉とか、AIの重大な認証に脇役の個人の生体情報を使ってる大手技術開発組織の信じられないワンマンな脆弱性とか、マイノリティ的な生きづらさをわかってるはずなのに大葉に対して表層だけ見て軽々しく「悩みがなさそう」みたいな薄っぺらいノンデリみたいなことを言えちゃうマコトのキャラクターづくりの雑さとか、別に栗原キホなんか居なくて最初から四人だったぐらいの温度感とか、そもそも高校生のときに栗原キホとあれほど恋人論争していたのを見ていたはずの亜衣も凛も大葉のことめっちゃ違和感あるはずだろとか、イソベやんの限定グッズにめちゃくちゃ詳しくて門出ちゃんと接近したのにそれ以降とくにイソベやんに関する描写がない竹本と門出ちゃんとか、気になるところを言い出したらキリがないです。



【前半と後半がわかれているところにそこまで意味はない】
前後半がわかれているエンタメ性はないです。むしろ前後半でアニメーションや音づくりがけっこう違うため、劇場で一気見したときにすこしキツかったです。

【後半の門出ちゃんがずっとモブっぽくてしんどい】
凰蘭ちゃんの意味としての門出ちゃんはとても重要ですが、それ以外であんまりだったので切なかったです。

【凰蘭ちゃんが大葉を好きになるタイミング】
見ていたときにまったく理解できなかったのですが、あとあと考えてみると、急にいなくなった大葉を探しているときに、空から飛んで帰ってきたところじゃないかと思いました。かっこいい!ってなってそう。
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