さとうきび

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章のさとうきびのレビュー・感想・評価

4.0
後編公開が一ヶ月後で、最初は空ける意味あるのか微妙な期間だなぁと思ってたんですが、実際には内容の覚え具合と公開を待つドキドキ感が一ヶ月ってちょうどいいなぁと感心しました。やっぱプロってすげえ。


ストーリー 7/10
前編がすごく丁寧に作り込まれていた反面、後編はやや駆け足な感じに。おそらくは尺の問題なんだろうけど、もう少し取捨選択しても良かったように思う。ただ、映画としてはきちんと完結しているので物足りなさは感じなかった。
容赦のないストーリーラインはパンチ力が高く、こちらの感情をガンガン揺さぶってくる。原作のパワーというのもあるけど、独特のセンスをきっちりと再現できているというのは大きいんじゃないでしょうか。


構成 9/10
序盤は前編から地続きの日常で没入感を与え、中盤からは謎が解明されていってさらに目が離せなくなり、最後はダイナミックなアクションシーン! 後編という立ち位置を活かしつつ、映画としての定番はきっちり押さえていて、とても素晴らしい構成になっていたと思います。


演出 8/10
『侵略者』たちのショッキングな演出が多く、門出たちのどこか間の抜けた日常との対比が鮮烈で、すごく心を抉ってくる。血が噴出するとことか、『中身』とか……。
反面、前編よりも恋愛が絡むような展開も多く、もどかしさと甘酸っぱさをふんだんに味わえるような描写も多い。温度差で風邪ひきそう。


オリジナリティ 4/5
キャスティングからシナリオ構成まで、非常に挑戦的な今作。映像面などでは既視感がある場面も多いが、それ以上に新しくて面白いものを作ろうという気概が作品全体から感じられて良かった。


ジャンル性 5/5
アニメ映画だとよく『これアニメでやる必要あるの』問題があるんだけど、今作に関してはアニメでしかできないことが多すぎる。
ジャンルとしては青春SFあるいはセカイ系って感じになるんだろうけど、懐かしさと新しさが同居していてどの世代でも楽しめる内容になっていたと思う。


映像・美術・音楽 4/5
所々気になる荒さはあるんだけど、それはさておきラストシーンは圧巻の一言。エヴァの破を思い出しました。
テーマソングも前編のアップテンポから打って変わり、しんみりしたエンディングっぽい曲になっていて、こっちも好きです。


キャスト 4/5
あのちゃんが前編と比べて明らかに上手くなっていてすげえって思いました。滑舌が悪くて聞き取れないようなところもほとんどなく、感情の込め方も素敵。
幾田りらさん含め、ベテラン声優の中にいてもジ◯リ作品みたいに浮いた感じにはなっていないので、違和感なく楽しめました。


個人的加点減点 −1
前編のワクワク感には勝てなかった印象。比較すると、完成度は後編の方が圧倒的に上だけど、空気感とか引き込み方は前編がすごかった。期待値が上がりすぎていたので少しマイナスだけど、前後編まとめて見ればまた違った評価になるかも。もう一回見るか配信を待つか、悩ましいです。