Sasada

ビニールハウスのSasadaのレビュー・感想・評価

ビニールハウス(2022年製作の映画)
3.9
被害者であることに気づくこともできず、警察や行政の目には届かず、自傷を繰り返すしかない「弱者」としての障害者、女性、老人

なす術もなく無抵抗に傷つき続けてきた彼女に、己の命運を賭してでも守りたいものができたとき、初めて他者に矢印が向く。ふとつぶやいた「殺せば良い」はさまざまな人を巻き込み、不幸なパズルはあまりにタイムリーにはまり続ける。

制度の不正に沈む彼らを描く韓国らしい社会派映画でありつつ、バレる?バレない的なサスペンスとしての面白さも担保され、屋根から落ちる虫→蕨(しかもそれを食べる)、カッターナイフ、ライター、浴室の椅子など、超重要な何かが起きた瞬間にシーンを切る編集が不思議なリズムを産んでいて「映画」としてすげー面白い。

あなたのコミュニティや社会は、ひとりの人間の存在を個別具体的な名前で認識しているか?問いかけられているように思う。
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