コーディー

ビニールハウスのコーディーのレビュー・感想・評価

ビニールハウス(2022年製作の映画)
3.7
少年院にいる息子との生活を夢見て、家政婦として献身的に老夫婦の介護をするムンジョンに追い討ちをかける悲劇。
貧困、障害、老いなどにより社会的に孤立する人々の立て直し困難な現実、僅かな光を守ろうと取り繕う程に心は壊れ、正気を失っていく弱者の肖像を絶望一色で見つめる。

仮設住宅としてのビニールハウス、精神科ではなく無料のグループセラピー、そして絶望的な誤魔化し…
と、一時しのぎに縋るしかないムンジョンやけど、応急処置が根本的な解決に繋がる訳もなく徐々に日常は崩壊していく。
そんなスリラー展開に移行してもエンタメ的な反転に頼る事なく深刻な日常をただ捉え続ける容赦なさがしんどいけど、自分は好きでした。

罪悪感はもちろんあるけど、他者を.そして自分を騙しながらでも心を維持しようとするムンジョンの弱さ。
そうやってバランスを崩しながら愚かに堕ちていく様子、ギリギリの精神状態を表現するキム・ソヒョンの演技が素晴らしかったし、最後の最後まで彼女の表情から目が離せなかった!