このレビューはネタバレを含みます
私が学生の頃、スポーツタイプのバイクが流行っていた。4輪のF1と同じようにWGPにも注目が集まっていて、F1カーは公道を走ることはできないけど、2輪の場合は似たようなデザインのバイクで走ることができる。ここが圧倒的に違うし、ヤマハ、ホンダ、カワサキ、スズキの日本勢が圧倒していたこともあり、これがブームの切っ掛けだったと思う。鈴鹿の8耐には全国のライダーが集結していて、飛行機や電車で移動するのではなく、当然、愛車の2輪に跨って、北は北海道から、南は沖縄から集まっていた。スクーターで来た猛者も居たりして、愛に溢れた集まりだったと思う。バイクを盗んで、いざとなったらバイクを捨てて逃げる暴走族とは違うのだ。バイク=不良という認識が変わり始めた時期だったと思う。
この映画では、バイク=不良が始まった頃が描かれている。不良どころではなく、ギャングなので、それはそれは怖い人達である。どんどん走ることから遠ざかり、狭い縄張りでいがみ合っている。バイクに乗ったら遠くまで走るべきなんだと思う。何のためのバイクか分からない。だから、ジョニーは店を構えて、組織を作って、おまけに分家まで作って、バイクライダー達を縛り付けていけなかったのだ。新選組のような血の掟なんて不要だ。剣豪は剣の道を究めるべきで権力の道に走るべきでなかったように、ライダーは自由に走り回って自由を謳歌すべきで、権力争いに没頭すべきではなかった。だからベニーとの決別は必然だったのだと思う。悲しい馬鹿な男たちの物語だけど、任侠映画に憧れる本能が捨てられない自分もまた馬鹿一族の一員だったりする。馬鹿チンガー達にお勧めです。