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ザ・バイクライダーズのいののネタバレレビュー・内容・結末

ザ・バイクライダーズ(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

予告篇みたらかえって迷ってしまった。映画館に行くのか行かないのか。どうしよう! → 二輪車生活(といっても原付)を数年後には終わらせようと思っている自分は、バイクの音を映画館で堪能したいという気持ちに抗うことができずに結局は映画館へ。結果、行って 大 正 解!


(なんという言葉を使うのが適当なのかわかってないけど)バイクを吹かす音とか転がす音とかがとても気持ちよくて、時々目を閉じて音を体の中に染み込ませました(寝てません!) 


スカッとする場面はほとんどなく、なんか悲しい気持ちになっちゃう映画だった。バイク乗りの集団の栄枯盛衰。衰まできっちり描くことで、この映画がその集団を決して手放しで賛美しているわけではないことも充分すぎるほど伝わってくる。この男どもは、どうしてこんなに群れたがるのかしらね。いい年した大人が中学生みたいに見えてくる。みんなで走る部活動。ちょっと遠征。本日の部活終えたあとも部室でだべる。いつまでもいちゃいちゃ。おそろいの紋章。他グループとの喧嘩は対外試合のようなもの。メンツつぶされたらマジ切れやまぬ


ジョディ・カマーが語る「彼らは社会のルーツを守るのは嫌いなくせに、自分たちは集団内ルールを作りたがりそれを守らせようとする」(だったかな?)みたいな言葉には唸りました。なるほど! 想定外に大きくなっちゃったから組織がもたなくなったわけではなくて、最初から行きつく先は見えていたように思う


それにしても、オースティン・バトラーの色気が凄い。本当に凄い。めちゃ格好いい。彼はほとんど台詞を発しない。発しても一言か二言。センテンス短っ(ここぞというときにはもう少しだけ長かった)。とにかくすんごくいい。彼はたぶん兄貴がいればそれだけでよくて、だからグループに所属しながらも全く群れてなかったのだと思った。


トムハ演じるジョニーは大変よね。あれはトムハでなければできなかった役のような気がする。おでこの皺の多さは、メイクでそのように見せていたのかしら。バトラーと並ぶと、兄貴というより叔父さんのようにも感じられ、それはちょっと淋しいことでもあった


ジョディ・カマー演じるキャシーが、インタヴューにこたえるという形式での映画だった。喋る喋る。すごく喋る。英語のリスニングもできないわたしが、彼女が喋るなかでの「you know」だけがやたらと耳に入り、彼女はその言葉をすごく入れてくるのでちょっと困りました。男たちは徒党を組んでいたけど、彼女は群れてなかった。そっか、群れていない者同士で惹かれ合ったんだ。でも、彼女の空虚さもすごく伝わってきた。ほかにはなんにもないんだもの。


さいごに戸外と2階とで微かに交わす視線と微笑。心に残る。これでおしまいじゃない。ここからはじまるんだってことかな



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・1960年代に実在したモーターサイクルクラブの写真集にインスパイアされたという旨のクレジットが冒頭にあった。映画のなかでも、このショットは実際の写真から創り上げたショットかな、と思うものもいくつもあった。いろんなことひっくるめて、バイク乗りたちに対する深い愛を感じる映画だった


・マーロン・ブランド主演の『乱暴者』、いつか観たいと思う!


・半年くらい前に、原付が来年には製造中止になることをバイク屋さんのおじさんに教えていただきました。そのあとは電動式になるとのこと。おじさんとお話して、今の原付をメンテナンスしながらできる限りは乗るということにしました。学生の頃からずっと乗ってきたけど(中免まで取って、ギア付きに乗ったり小型スクーターに乗ったりもしたけれど)、これにて終了にしようかと思っているところ。さびしい🛵
いの

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