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ソゴビのニューランドのレビュー・感想・評価

ソゴビ(2002年製作の映画)
4.1
✔️『ソゴビ』(4.1p) および❮前後作との位置。『セントラル·ヴァレー』(4.1?)『ロス』(3.8?)『13LAKES』(4.1?)『TEN SKIES』(4.2?)❯▶️▶️

今日はカリフォルニア三部作を纏めて再見と結構意気込んでだが、一本目を観て、(『RR』等で予想はついたとはいえ)IFの長期間の保存に手抜きがあり劣化したのか、以前に観た時に比べ、かなりヌケが悪く汚れた感。この後2本の料金2400円も勿体無いし、今日はこれで終りとしてしまった。
それでも(当たり前だが)これは傑作である。静的予見的な風景集ではなく、季節も場所もぞんざいと言うかかなり無理に切り替え、黒身も2.3回入るが、基本2分半ばかりのフィクスカットをストレートカットで連ねてくは、かなり奇怪な物を内蔵した光景が多い。自然の猛威によるのか、人間の無頓着な改造によるものか、只その二つは呼応·溶け合いは見せず、各々自分勝手に突っ走るばかりで、世界の亀裂や変貌の思いもしない力は内から伝わってくる。
画面下半分が濃淡変化で分かる数本の道路で車らが左右から突き抜け、上半分の切立てた崖は、元々断層のせいか、崖崩れのせいか、不思議な描いたような模様が印象的。水墨画のような、吹雪の中でボケて見える木立の威容もあれば、左右を白州や低いがけで遮られ·不思議な形の河の流れは、下の青緑の深み感が何層にもこの世の物とも思えない。冒頭浜辺の屑山は自然の物か、人工廃棄物か。静かな湖の上空を轟音で突き抜けくるヘリの変な進路、山と積まれた巨木の数えられない数にたじろぐ?クレーン、左右や(俯瞰で画面)上へ抜けてく·山間や湖の·超長いか荷物箱高く積みのカラフル·貨物列車や輸送の力。砂丘の波線や砂漠サボテンらの形を変える暴風、ダム内の水面の人工手入れ。空は一般にこの作では狭め多いが、白い雲や青の色は鮮やか。光の量や当たり方は変移し、森林の巨木らや·曲がり絡まった細い幹·枝群の異様も変貌を示す。樹や河流れや山間の傾き方や占め方が何か不思議·奇妙。
岩の剥き出し部の彫刻の塔群的なのや、採石場の緩やか巨大ピラミッドの一部的なのも。
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それにしても、これは特に、隣接前後作の中で語られる、作なのだろう。三部作の1作目の『~ヴァレー』は、フォードの『駅馬車』ルノワールの『~幻影』黒澤の『七人~』的作家の代名詞的作か、この地区の穀倉·開発地域の、広大な開発や収穫·片隅の自然単体·人間の活動と趣味らを、安定拡大と不気味な落ち着き、突発人工や自然の突出瞬間と·不穏な熱·白煙·排水の覆い、らを正確狙い通り、作品の要求·欲求に一部の隙もない答を列べ続けた完成度の飛び抜けた作だった。『ロス』は前作では少なめだったあからさま立体視覚の立体感や色彩や人が絡む騒々しさを、都市部に描いてたと思う。そして『ソゴビ』を経て、人間の姿やその創造物が大きく後退して、自然と正対しただけの作品に近づく。この2作は、後のビデオ作品に近く、カットも長い(『ルール(地方)』らの排煙だけの1時間近く長大カットへ向かう)。『13~』は、静謐な湖への退きカットらに、陽光や人間乗り物らや流氷·浪らが奥底や表面から、変移の力を与えてく。『TEN~』になると、その雲間や地上からの煙の、形を超えた、掴まえられない、巨大限りなく、内なる動力計りしれない、変貌の力が主体の抽象に近い圧倒とナチュラルを示してくる。ただ、2作とも、音響は自然の力·音と絡む人間社会の忍び込み·影響力から逃れられない、どこかの不自由さ、というか芸術超然などあり得ないこと、を同時に示してく。それが、ベニング世界か。
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