✔️🔸『大雷雨』(4.3) 及び🔸『アメリカの恐怖』(3.4)▶️▶️
ウォルシュ色も確かにありながら、それよりドラマ定型に従った、安心感持てる、ひそやかな本道返りのような作品も多作の中にはある。しかも、特撮や、とぼけミステリーといった映画ならでは、特色が活かされきってて、本当に堪能できる。基本、作家主義に貫かれた映画なんてのは、シャープな驚きはあるが、警戒心を解く安定感・武装解除からは、少し離れてるものだ。それより、こっちの方がいい気もする。
色合い違う大スターら、個性派らが共演の『大雷雨』。この映画については特に高名を聞いてたわけでもなく、21Cに入ってやっと観た。16ミリノースーパーと、VHS家庭用ビデオとでだ。これは宝物だとわかった。
とにかく、冒頭の緊急事態対応の、出動時カメラワーク、特撮絡みアクション臨場感叩き込み、の息つく暇もない、小刻みに強くアップダウンのJコースター状立体動感に息をのむ。ロスの電力会社の送電線のメンテ・緊急修理班の待機から出動までの、仕事より女・どこまで本気か分からないラフさ、事態に急き立てられ、応えるに戸惑いなしや喧嘩中断仕切り直しのプロ意識の並行。これを縦から横へ速く角度変鋭いカメラ移動の次々受渡しのカットの繋ぎ続き、係わる人の(いきなり手前)画面出入り、の急で窮な場続きで、考えられないテキパキ・いきいきタッチ。反対のダレ感含み、喧嘩乱闘開始と中断で、把握が収まらないままも、ぐんぐん描き抜く。更には、夜間雷風雨の山奥現場で、鉄塔・電線・電流・自然と人間コンビバランスとのアクロバティック格闘が、巧みで微笑ましく効果的に挟まるミニチュアや、雷走る巨大空のホリゾントの仰角含む全アングル対応からの魅惑大セットの、ポジション・アングル・サイズ・サーカス的動き受渡しで、殆ど夢幻世界の立体動感刻み終わらず。ラストまで数回出るが、感情と体力の浮沈み絡みが強烈で、致命的負傷や死も当たり前に起きる。それは、入院病棟で都度居る一般人平凡患者(と看護師)を徹底的に暴力的に(主として大柄工事同僚は)おちょくる流れに都度流れ込んでく。
メインストーリーはそれに比べて普通に近いが、暗い生真面目さも結構ひた押しにくる。激しい狂気や、身を引くつもりから思わず告白、等の波動の振り切りも持つ。正直さの形を問う。
女に持てた事ないコンプレックスを持ち、やたら感情的・喧嘩っ早い主人公が、現場での事故で指示手配の現場監督・職長的立場になり、丸くもなり、その事故で亡くなった老同僚の娘で、偶々出所も水商売戻れず、困ってたのへ世話を焼き、そのまま結婚す。女に先に接してた親友は、女の出自を警戒から、注意を促すも、主人公は新妻に夢中のまま。果たして女の真意は、これも怪我らで暫く同居した親友側にあり、いたたまれずこっそり１人消えんとす。それを聞かされながら、長期工場現場から呼び、待ってた主人公の所へ連れてく親友。妻が真情を語ると、主人公は不自由な足で電柱を登り、裏切り者と親友に闘いを挑む。転落し、我に戻ると、妻を親友に託す。
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ウォルシュ１930年代半ばは、他の区分内にくらべると、鮮やかな腕を振るった作が無いように、あまり米映画全般に詳しくない私などは思ってしまう。それは確かめないと、世間の風潮に流されてるだけかも知れない。スランプとされてた時期を検証してみると、宝庫だった成瀬やラングらの例もある。
『~恐怖』。この探偵刑事絡まるミステリーも、ウォルシュ色はあまり濃くないが、映画としてタイトでベタベタもスカスカもなく、キリッと締まってる。その上で観た後の語り草になりそうな特典を幾つも拾える、①ナンセンスなスクリューボール的台詞内容自体はいまいちこなれてなくも、『金髪~』に続く粋で奔放で変な執着と飽きっぽさを行き来するベネットが語りながらフワフワ動くと金言になる②これも大して活きて無いような特技や悪癖が、後のピンチをクリアする一瞬の宝刀と変わる。腹話術で死体を、こっそり抜きとった銃(の不明発砲)で、(敵や味方からの粛清)脅威を与え、びびらせ、退散や脱走から戻り内通に変える。③美容院噂拡大の喋り継ぐアップ顔連ねやスマートフォロー、少角度らの、効率と癖の早まり語り口④ラスト辺は電気落とし闇化混乱と格闘極めで締める。⑤名優らの位置と絡みの個性譲らぬコントラスト⑥新聞の先取りや誇大スクープで、現実事件や人を扇動し進ませる、無法か快策か。
美容院ネイリストと・大胆推理やスクープ記者や捜査助手、異種の2職を往き来のヒロインが、恋人同士でもチグハグばかりの恋人刑事と事件解決へ。高価宝石泥棒と誤射も赤ん坊殺害の、軽率実行犯~犯罪グループ~私立探偵~保険会社の金絡み歪んだ繋がりを、彼らに捕らえられても脱出、警察や新聞とリンクしながら、解決してく。
