よもぎ

アメリカン・フィクションのよもぎのレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
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面白かった。良い作品。
アマプラ配信有り難いんだけどやっぱ映画館で流して欲しいね。

書けないインテリの黒人作家が金に困りヤケになって書いた暴力!ドラッグ!ラップ!ママはビッチ!俺はスラム生まれHIPHOP育ち悪そな奴は大体友達!みたいな典型的黒人物語を書いたら大ヒット!どうする!?俺!!!!!
みたいなブラックコメディな前情報とアカデミー作品賞ノミネートに惹かれて鑑賞してみたけれど、思っていたより主人公モンク(ジェフリー・ライト)とその家族達の家庭内の問題や貧困が切実で人間ドラマとして落ち着いて観る雰囲気だった。
とはいえ暴力!ドラッグ!(以下略)を生々しい!これこそリアル!大傑作!!と手放しで大絶賛する白人達や一般大衆の姿というのはここぞとばかりに皮肉効かせまくりで大いに笑わせて頂きました。黒人作家の意見を跳ね除けた2秒後に「今こそ黒人達の声を聞く時よ!💪」はあまりに脳が空っぽ過ぎるんよ。
ただ黒人差別と縁遠い島国に住みながらそういう差別やその歴史を主題に扱った映画やドラマを観て"分かった"気になってる自分もそっち側にあたるんだろうな、とブーメラン刺さった気持ちにもなりました。

"黒人"をエンタメとして消費する白人社会への皮肉と共に"事実"よりも"人目を集めるエンタメ性"、引いては"儲け"が最重要視される出版・映画業界へも皮肉を効かせていて全方向に中指立ててる感じが抜け目なくて見事。
割と複雑な関係性ではあるけどモンクの兄クリフの奔放さが良い息抜きになって良かった。俺はクリフはタイラー・ペリーよりスターリング・K・ブラウンが良いと思うね!
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