ハレルヤ

アメリカン・フィクションのハレルヤのレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
3.8
典型的な黒人描写を嫌う物書きのモンク。世間が求めるものと自分の描きたい描写のギャップに悩むものの、偽名を使いヤケクソでありきたりな描写満載で書いた小説が思いがけずに大成功を収めてしまう。その対応に四苦八苦する様子を描いたブラックコメディ映画。

先日のオスカーで脚色賞を受賞した本作。理想と現実のギャップを描きづつ、世の中で暗黙の了解のごとく人種に対するレッテルが貼られているアメリカの実情を捉えた作品。

妹が急死し、母親はアルツハイマーで入院。悲惨な出来事続きのモンク。お金が必要になり、拘りを捨ててベタベタな小説を書いたら破格の契約金の提示。更には映画化の話まで舞い込む事態に。

偽名で普段の真面目な自分とは正反対の人間である設定なので、ぎこちない喋り方になるし、柄悪い態度で苦労する羽目に。そのモンクの面倒くさそうな表情がまた面白い。

そんなユーモアのある雰囲気の中、アメリカ社会への風刺が程よく盛り込まれていますし、モンクの姿を通じて家族との向き合いというテーマも並行して描かれています。

そこまで大きな盛り上がりどころもない映画ですが、そこはジェフリー・ライトをはじめとするキャストが物語を引っ張り、最後まで楽しませてくれる仕上がりになっていましたね。

オスカーを取ったにも関わらず、日本ではアマプラのみでの配信。勿体ないなぁと思います。気になった方は是非ご覧になってみてください。
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