おやすみ

異人たちのおやすみのネタバレレビュー・内容・結末

異人たち(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

最後まで見てこれは幽霊譚だったんだな、と思った。
たぶんアダムもハリーもすでにあちらへと行ってしまっている。
だからアダムはすんなりすでに亡くなっている両親に会えているし、会えていることになんの疑問も迷いも持たない。
アダムのことが気がかりだった両親も成仏できず、あちらの世界にとどまっていたのかな?と思う。
アダムはゲイである本当の自分を両親に受け入れてもらえなかったという、ほかのなにかでは埋められない孤独感が心残りで、ハリーは誰にも見つけられず孤独な死を迎えたという心残り。
登場人物たちそれぞれの心残りと後悔。
それらをひとつずつほどいていく様が素晴らしかった。
心残りと後悔がなくなった時、アダムの両親はアダムの前から消えて、初めて人を愛することができたアダムも愛するハリーと一緒に消えてなくなっていったのかな、と。

ポール・メスカルは「アフターサン」でも見せた、脆さと孤独さの中に見え隠れする美しさを表現する力を持っているな、と思った。
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