ユースケ

エイリアン3のユースケのネタバレレビュー・内容・結末

エイリアン3(1992年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

前作でエイリアンの巣窟と化した宇宙植民地を爆破し、クイーンエイリアンを宇宙に吹っ飛ばし、意気揚々ハイパースリープに入ったリプリー。
しかし、地球へ帰還する途中でUSSスラコ号は事故に遭い、彼女が辿り着いたのは宗教狂いの異常犯罪者を隔離した宇宙の流刑惑星フィオリーナ161だった。

オープニング早々に前作の生存者であるニュート、ヒックス、アンドロイドのビショップをぶち殺し、クライマックスには主人公のリプリーまでぶち殺した悪名高い本作は、完成までに3人の監督と10人の脚本家が参加し、本篇も含め4本の脚本が存在し、初監督を務めたデヴィッド・フィンチャーは「新たに映画を撮るくらいなら、大腸癌で死んだ方がマシだ」と嘆いたというシリーズにとっても監督にとっても黒歴史な一本。

確かに、登場するエイリアンは一匹なので【エイリアン2】のような数による恐怖はないし、舞台となる刑務所は中途半端に広いので【エイリアン】のような閉塞感による恐怖もないし、登場人物は薄汚い坊主のオッサンばかりで誰が誰だか見分けがつかず、感情移入もできないので誰が死んでも何も感じませんが、キリストの再臨を待つ囚人たちの前にキリストの代わりに現れたエイリアンを囚人たちとリプリーが命と引き換えに葬る展開から本来の目的を忘れた現在のキリスト教に対する批判のメッセージを感じ取れれば、そこそこ楽しめる作品になると思います。
特に、ニュートとヒックスの葬儀とエイリアンの誕生をクロスカッティングで描き、アーメンの掛け声と共に姿を現わすエイリアンは神々しさすら感じさせます。

とりあえず、景気のいい人体破壊描写やレイプする時にはゴーグルを着用するヒャッハーな囚人など、わかる人にはわかるみどころは要チェック。

【完全版】のみどころ…エイリアンが寄生する動物の犬から牛への変更がよく取り上げられるポイントですが、それよりも、エイリアンに魅入られた囚人が閉じ込めたエイリアンを逃すシーンの追加によってより宗教色が強くなっているところがポイントだと思います。