邹启文

リンダはチキンがたべたい!の邹启文のレビュー・感想・評価

3.8
中々に興味深い
「おもひでぽろぽろ」の小学生時代のシーンのような、あえて画面内の要素を減らすことにより、必要な動きが際立ってゆく手法は見ててどんどんわくわくする。
ポスターもそうなんだけど、どこかの線が1本消えただけで画が破綻してしまうような、小学生の美術の授業で書かれる絵画を見ているような危うさを成立できてしまう感じ、アニメにはまだまだ多くの可能性が眠っているんだね。
多分、各キャラのトレードカラーが決められているからこそ、所々輪郭線が無くなっても迷うこと無く見れたんだろうね。そういう意味では集中して画を見れる映画に適した題材だろう。
ここまで時代と異なる作品を作れるんだから、フランスアニメは辞められないよ。

物語もTHE 漫画アニメ的な楽しさがあって最後まで楽しめる。明らかにアウトな行動は勘弁だったが、言い換えればその分生の人間を描けていると書いても良いだろう
導入部や中盤のチキンチェイス、ストライキやデモ的描写など通常の子供向けアニメで見られることの無い要素を加えながら、全てにきちんと向き合った結論を見せてくれるんだから満足せざるを得ない。
特にクライマックスの歌からのシーケンスは奇跡としか言い様がないよ。
邹启文

邹启文