サンプリング・コラージュ・アニメーションで口当たりだけは軽く、胃の中にドバドバと溶けた鉛を流し込んでくる黒人差別の歴史のドキュメンタリー。
相手を人間だと思うと、差別もリンチもレイプも殺人も心が痛んで、相手じゃなく"高潔な自分"が辛いので、ではどうするかというと、人間ではなく取引可能な物であるとするのは勿論、優れた我々が導くべき劣った存在とする(フラワームーンで対先住民の扱いとして観たばっかだねえ)、世を乱す脅威として設定する、その他諸々の黒人差別のネタとして利用されてきたあらゆる欺瞞の博覧会で見てる間中胸糞悪くてずっと舌打ち。不愉快、ほんと不愉快。最近中東のどこかの国でも、相手は化け物だとかなんとか、とんでもない理屈で暴力による蹂躙が行われてますなあ。被差別対象を作るということがもたらす心や立場の安定があるのだとしたら、そんなもんはクソ喰らえだと片っ端から火を放っていきたい所存。
あと『13th 憲法修正第13条』観た時にも思ったけど、特にアメリカにおける黒人差別は構造のレベルでほんっっとに根が深い……。
「反人種差別社会の実現をみんなが想像するとき、得られるものでなく失うものを思い浮かべる」こういう相対的剥奪に怯えて平等を冷笑して先回りした結果、平気で隣人を叩き潰すことはあってはならない。本当に。