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タタミのparaのレビュー・感想・評価

タタミ(2023年製作の映画)
4.6
今まさに世界を二分しようとしているイスラエルとイランの関係。
そのイスラエル人とイラン人による共同監督の持つ大きな意味もさることながら、メッセージ性も含めて映画として完成度が高く素晴らしい。題材が題材だけに秘密裏に映画製作された勇気ある作品。
『SKIN』のガイ・ナティーブ監督で楽しみにしていました。

スポーツであってもイランにとって不都合な国の対戦相手の場合には棄権を強い、個人の意思は認められないというイランのスポーツ選手の置かれている緊迫した状況。
国の命令に背けば一族の身にも危険が及ぶ。

2019年イラン男子柔道選手の亡命からインスパイアを受けて、ガイ・ナティーブ監督が脚本を書き始めた時には想定していなかったであろう世界情勢。
『聖地には蜘蛛が巣を張る』のザーラ・アミールは最初はキャストとして声が掛かったとのこと。

ガイ監督の奥様であり、本作にも女優として出演、そしてプロデューサーのジェイミー・レイ・ニューマン さんのQ&A付き(登壇予定だったガイ監督は急遽アメリカに帰国)

このQ&Aがモノクロやアスペクト比変化の理由のお話も含めてどの問いに対しても明確なお答えで有意義でした。
冒頭とラストの関係も見事で、傑作。
タイムレスな作品を、という制作意図は奇しくも今日的であり、是非日本で早期の公開を望みます。

TIFF2023
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