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ゴールド・ボーイのJPのレビュー・感想・評価

ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)
3.6
▼どんでん返しは好きじゃない人でも楽しめる!

「あなたもきっと騙される」系の映画、苦手なんだよなあ…。「ある閉ざされた雪の山荘で」も”二重三重のトリック”なんてキャッチコピーにしてしまうから、そうなんだ…と思って見に行ったら、ドヤ!三重構造でした!すごいやろ!みたいな感じで「いや、そのまんまやんけ!観客の想像を超えてこいよ!」ってなっちゃった。そもそも騙し合いバトルを謳う時点で、じゃあ序盤で描かれてることは全部嘘なんだね?って思いながら鑑賞を始めてしまうから、本当に良くない。なんか楽しめてない。
その点、今作のキャッチコピーは「子供をなめるな」「きっと、あなたにも殺したい人がいる」。これが良い。頭脳戦の要素も感じさせつつ、主人公の少年や岡田将生が誰かを殺したがっていることも伝わってくる。
見事にこのコピーに騙されたし、展開が予想できそうなのに、できない。さすが中国から輸入した原作なだけある!面白い!


▼平成の香り漂う演出!

これは完全に好き嫌いが分かれるところのような気がするが、「平成臭」がすごい。サスペンス色ベタベタな音楽、青みがかった映像のトーン、子供達の服装や演技、エンドロールの倖田來未…。笑
平成に作られた旧作を見ているような錯覚に陥るが、これが沖縄を舞台にした青春ノワールにマッチもしているし、ちょっと古めかしくも感じられる。


▼ キャスティングの妙!(ややネタバレあり)▼


岡田将生、黒木華、北村一輝、江口洋介など、大人たちが盤石なのはともかく、子供たちが実はすごく良い。羽村仁成はサイコパスに見えないというのが今作の大きな肝になっている気がする。もっと「賢いだけではない悪童」っぽいキャスティングをしてしまうと、ラストの展開が読めてしまうかもしれない。岡田将生と対等に張り合えるような、シュッとしてスンとした、純粋に賢い少年をかなり上手に演じていた。
星乃あんなの存在感もすごい。令和の時代にあんなワンピース着た少女、いる?笑 
めちゃくちゃ平成の邦画に出てきそうな少女で、自然と彼女に目がいくようなカメラワークもニクい。

岡田将生の「大人をなめるな!!」の絶叫が最高。「ドライブ・マイ・カー」の時とはまた違う、完璧なヒールが板についていて◎
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