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デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章のJPのレビュー・感想・評価

3.4
▼良くも悪くも、前章の勢いそのままに駆け抜ける!

悪く言えば、原作読んでなくても伝わるくらいめっちゃ駆け足だし、どこまで行っても夢か現かわからなくなるような浮遊感をもたらしてしまう展開。
魅力的なキャラクターひとりひとりを掘り下げる余裕は当然無く、「Plankton A.I」だの「Ocean」だの「母艦のメンテナンスプログラム」だの、あまり現実味の無いフワッとした説明でもって、さも重要そうにマクガフィンになっている。
お、面白くなりそうなのに、粗い…!これじゃあ前章と同じで、結局何も回収されてない…?!

しかし、なんとも奇妙な今作のことを、どうしても貶す気分にはなれない。
公開が予定より1ヶ月以上遅れたのも頷ける、ハイクオリティな後編だと言いたい。おそらく終盤の”あの描写”に労力が割かれたのであろうと察せられ、「オッペンハイマー」「AKIRA」「エヴァンゲリオン」と肩を並べるとんでもないシーンが待ち受けている。
劇場の大きなスクリーンと音響で見るべき作品だ。

▼(ネタバレあり)母艦を見て見ぬふりする私たち



「やっぱり、わたしは一人じゃなかったんだ!」と東京のデモに参加して感動する、石川出身のふたば。即座におんたんが「自分は間違ってないって思いたい奴らが集まるのが東京だ」とバッサリ斬る。
結果、デモのために合宿の途中で東京に戻ったふたばは、そのままラストの大爆発に飲み込まれてしまう。
大災害は善悪関係なく、ただその場所にいた人を平等に殺傷する。今回、たまたま東京にいなかったおんたんたちが生き残ったに過ぎないので、今作が東京にいた人間を批判しているとは言い切れない。だが、東京上空にいつ落下ないし爆発するかもわからない巨大な母艦が浮いていても、そこから避難しない人の方が多いのはものすごくリアル。私たちだって、いつ巨大地震が起きてもおかしくない場所で、今ものうのうと暮らしている。大災害の予兆は目に見えていても、長年かけて築いてきたこの生活圏と日常を手放したくないが故に、母艦を見て見ぬふりし続ける。なんとも痛烈な作品だ。
JP

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