このレビューはネタバレを含みます
【 行き当たりばっ“たび” 】
カタコトの日本語を話すシュー・グァンハンの純粋な青年っぷりが素晴らしかった。いい意味で映画らしくないというか、自然な演技に引き込まれてしまった。
この映画は、清原果耶さんの魅力が凝縮された作品だ。無邪気な笑顔に、強かな生き様。物語としての結末が無念だったことは言うまでもないが、死を受容して自分の人生を謳歌することを決意した彼女は美しかった。内面も外見も。まさに純粋無垢であると思う。とにかく、一つ一つの言動が強く印象に残っており、私は心奪われた。
随所に、旅の途中で巡り会う豪華キャストとの出逢いもすごく嬉しい。
「行き当たりばったり」とはやや消極的なフレーズである印象を受けるが果たしてそうだろうか。極端な例だが、平然を装うも下心満載で目的にお近づきになる姿勢より遥かに美しいではないか。
自分の心の声に耳を傾けて、好奇心のまま旅をしてみる。人や物に関わらず、その過程で“たまたま”巡り合ったものが、案外人生におけるかけがえのない存在や経験になったりするものだ。まさに本作の主人公ふたりのことを言っている。
人生は短い。人生とは旅である。
他の誰でもない自分の気持ちに正直に旅をしようじゃないか。旅をして見たこと、聞いたこと、したことがその人の人生を創ってゆく。
こういう積極的で自由な態度でする旅を私は、「行き当たりばっ“たび”」と呼ぶ。