この映画は、主演の河合優実さんが凄いらしいと噂に聞いていて。
彼女は、自分もずっと長い間、注目している女優さんの1人なので、京都の映画館まで足を運んで観てきました。
もう、本当、噂通りでした。
その演技は、見事だったと思うし、その演技を見れただけでも、この映画を観た価値はあったと思います。
ここまで、この複雑で難しい役柄にアプローチして、演じ切って見せられる、その実力は確かなものだと思うし、この世代の女優さんの中では、はっきりと頭ひとつ以上、抜けているなぁという、そんな手応えがしっかりと感じられる演技だったと思いました。
しかし、ストーリーについては、これも噂通りの重々しさでしたね。
もう、観終わった後、本当にその救いようの無さに、しばらく呆然とさせられてしまいました。
主人公のあんのこと。
可哀想で可哀想で、本当に見ていて辛くて仕方がなかったけど。
同時に、彼女の周りの無責任な大人たちへの怒りも感じて。
断じて許すことが出来ない、そんな明確な「悪」の存在が、とても不愉快で仕方なかった。
だから、この映画についても、あまりいい映画だったとは思えなくて。
しかも、これが実話を基にした物語だと言う事に、この世の中の深い闇や、不条理さを見せつけられたような、そんな心苦しさを抱えて、劇場を後にしました。
でも。
やっぱり、河合優実さんは凄かったなぁ。
鬼気迫るとか、体当たりでとか。
そんな表現では語れないくらい。
自分がどう見えているかとか、どう映っているかとか。
そういうものを、全部放り出して、ただ”あん”である事に徹した、
その役者としての魂には、賞賛を贈りたいと思います。
素晴らしかった。
