このレビューはネタバレを含みます
サンキュー、アマプラ。
配信早くて助かります。
観たかった作品だけど、主演の河合優実ちゃんが撮影当時メンタルがすごく落ちたというようなことを言っていたので、覚悟して観た。
覚悟はしていたが、観終わり、いざレビューを書く段になったら逡巡してしまう。
気持ちがまとまらず、うまく文章にできる自信がない。
ないながらも、間違いなく言えることは、
河合優実の演技力ハンパねぇ。
「ふてほど」や「かぞかぞ」でも魅了されたけど、その比じゃねぇ。
末恐ろしい演技力モンスターですね(ベタ褒め)。
まあ、とりあえず書いてみます。
*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*
順番をつけることではないけど、それでも間違いなく母親がいちばんの悪。
諸悪の根源。
雑でぶっきらぼうで乱暴で激しいけど、きっとあんちゃんがそれまで出会った誰よりも親身になって彼女のためにいちばん行動してくれた刑事。
この役に佐藤二朗?と訝しんで観始めたけど、途中で大きく納得。
優しいようで何考えてるか全くわからない記者に稲垣吾郎ちゃん。
私は、自分で名乗らず、「こういう者です」と言いながら名刺を渡す人を信用しないことにして生きてきたんだが
(と言いつつも今のところ映画やドラマの中にしか存在していなくて現実には出会ったことがない)、
まさに吾郎ちゃんの役の記者がそうであった。
そして中盤に、「あながちその考えは間違っていないかも」と思い当たる。
あんちゃんが日記のための手帳を、最初は万引きしようとして(たぶん、それまでと同じように)、やっぱりちゃんと買うことにしたシーンが好きでした。
初めてあんちゃんの”こころ”が動いたのが見えた気がします。
反対に、胸の中がもわっと嫌な気持ちに満たされて吐き気をもよおしたのが、
終盤に隣人のシンママが「恩人です」と話すシーン。
そんなことよく言えたな。と思うけど、
そんな人だからあんな風に無責任に適当に幼い息子をほとんど知りもしない隣人に押し付けることができたんだろう。
せっかく、少しずつ少しずつ自分の人生を取り戻して歩み始めたのに…
働いていた老人養護施設のミスで、毒親に勤務先と月給がバレて乗り込まれる
頼りにしていた刑事・多々羅の逮捕(しかも、同じく頼りにしていた記者の記事がきっかけで)
コロナ禍スタート
夜間中学の休校
非正規雇用者は休職
隣人のシンママが泣く息子を叱るのがうるさく勉強に集中できない
そのシンママが詳しい説明などもないまま、息子を少しのお金と共に預けて立ち去る
泣き止まない男の子
おむつのサイズもわからない
お腹を空かせていても、なにを食べさせてあげたら良いのかわからない
頼みの綱の行きつけの町中華もコロナ禍で休業
挙句に毒親に住処がバレ、おばあちゃんがコロナかもしれないから帰ってきてほしい”ママ”と泣きつかれ、仕方なく実家に戻るもおばあちゃんはぴんぴんしている
預かった隼人を人質のように取られ、またしても望まぬ売春でお金を稼ぐ(ここは想像)
戻ると隼人は児相に連れて行かれていない
母を心底ゆるせないが、包丁を持ってみても刺せはしない
どこで、あんちゃんのこころは全てを閉じることにしてしまったんだろう。
積み重なる不運と不幸と身近な悪が、
窒息しそうなほどに積み重なって彼女を覆い尽くしてしまったのだろうか。
母を刺せば良かったのに。
と不謹慎なことを思ってしまった。
そうでないのなら、どこかの段階で誰か何かできたことがあったはずなのに。
だけど私はあんちゃんの選んだことを責めたくはない。
全てから解放されて、もう何も誰もあなたにつらい思いをさせることはないから安心して。
やすらかに。
と祈ることしかできないけれど。