たかちゃん

毒親<ドクチン>のたかちゃんのレビュー・感想・評価

毒親<ドクチン>(2022年製作の映画)
4.0
成績優秀の女子高校生が、キャンプ場での集団自殺のひとりとして発見される。母親は自殺と認めない。教師に原因があるとして、裁判を起こす。
母親のゆがんだ子供への溺愛。問題が起これば他人のせいにする。そこから逃れられない子供の苦しみ。モンペ(モンスター・ペアレンツ)問題は韓国だけでなく、日本でも社会問題となっている。『怪物』などでも断片的に取り上げられているが、毒親をテーマにした本作はミステリーというより、ホラーと呼びたいほど母親の狂気が恐ろしい。「勉強して一流大学を出て、一流企業に就職し、一流の男性と結婚することが幸せ」という愚かな幸福観を子供に押し付ける。子供は密かにうつ病の薬を飲んでいることも知らず、教師、警察の言葉も受け付けない。友達の証言に我が子の死の原因が自分にあることに気づき始めるが、頑なに認めようとしない。認めることはアイデンティティの崩壊であり、自己保身なのだ。
母親役のチャン・ソヒの恐ろしい表現力。娘役のカン・アンナの無気力と激情の揺れ動き。教師、警官、友人らの演技のアンサンブルを見事にまとめ上げた、監督・脚本のキム・スイン(第1作目)に注目だ。
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