真魚八重子

毒親<ドクチン>の真魚八重子のネタバレレビュー・内容・結末

毒親<ドクチン>(2022年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ラストで時間軸が回転し、映画の魔法を見せたところで泣けてしまった。

成績の良い高校生ユリが、見知らぬ男女と練炭自殺をした。熱心な教育ママのヘヨンは、ユリが自殺をするなど信じられないことだった。死の直前に担任のギボムと、クラスメートでユリが以前親しかったアイドルの卵イェナが、ユリと連絡を取っていたことを知り、ヘヨンは二人がユリの死に絡んでいると推察し、裁判を起こす。

警察は集団自殺の現場に4人分の遺留品があったのに、遺体が3体しかないため、逃走した人物がいると考え捜査をする。自殺の打ち合わせなどに、ユリはひそかに携帯を2台使用していた。その一台はイェナが貸しており、ヘヨンはますますアイドルを目指す不良が、娘を悪の道に誘ったと思い込む。

韓国は儒教の国なので、日本ほど露骨に両親の悪口を言わない習慣が残っているのかなと感じる。そのため「毒親」に苦しめられていると相談できればいいのに、それがしづらい状況なんだろう。ユリとイェナの、短い期間だったけれど、確かにあった友情の愛らしさと儚さが切ない。
ギボムも父親が毒親で、教師になったことを賤業のごとく悪しざまに言うのが耐え難い。
韓国の教育熱心で儒教的な面の危うさに、焦点を当てた映画で興味深かった。
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