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ゲバルトの杜 彼は早稲田で死んだのyuzameのレビュー・感想・評価

3.0
暴力で要求を通す。
戦争と同じだと思った。

戦争からそう時間が経ってない
時代だったと思うのに
何故そんなやり方が
正当化されたのかが不思議だった。

戦争を過去の悲惨な出来事と
捉えてなかったのかな。

国や上の世代に対して、
革命を起こすんだという活動の
はずなのに、
上の世代の愚行をトレースする。
言い掛かりのような容疑で捕まえて
自白を強要する様は、
特高のそれと全く同じだ。

樋田さんの
学部の外は平和だったのにという言葉と
内田樹さんの
普段は普通の学生が、集団になると
電車賃を踏み倒したり、
おでん屋を襲撃して平然としているという
言葉が印象に残った。

それと
「友達関係」と「活動」が地続きだったという話は
そうだったんだろうなと思った。
その実感は、暴力を振るう側にも
あったはずで、
スパイ容疑をかける事が無理筋なのは
最初から分かっていただろう。

仲間が殺されたからには、
誰かを殺さなければ面子が立たない。
誰か殺していい奴いないか?
あいつ怪しいぜ。怪しまれる方が悪い。
あいつにしよう。
こんな馬鹿みたいな話じゃないと
反論されるだろうけど
でも、正義とか大義とかの
分厚い衣を剥がせば
中身の正体はこれだと感じた。

組織の意思であれば人も殺せる。
自分の命も差し出す。
戦争で死ぬ事は意味のある事。
命よりも大義が優先される。
本当に同じだ。
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