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風よ あらしよ 劇場版のAmberのネタバレレビュー・内容・結末

風よ あらしよ 劇場版(2023年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

伊藤野枝と大杉栄の話に興味を持ったのは、ラジオでだったか、瀬戸内寂聴の『美は乱調にあり』の話を聴いてからだと思う。そうしたら、今度は村山由佳が『風よ あらしよ』を書き、さらに興味が増した。その上、吉高由里子主演でドラマ化され、ドラマは観ていないが、劇場版が公開されると知り、ぜひ観たいと思った。

イオンシネマ川口に向かうため、越谷レイクタウン駅に向かっていると、ちょっとした林にカラスの大群がたむろしていた。木々の上方に何羽もとまっていたり、街灯のてっぺんにとまっていたり、自転車をこぐ私の前を何羽も飛び交ったり。ものすごい数だ。隣の市の吉川の方でカラスの大群を見かけたことはあるが、越谷では珍しい。これは何かの前兆だろうか。あらしの前触れか、それとも関東大地震の前触れか。カラスの大群というと、先日映画館で観た『傷物語』にもカラスの大群が出てきた。

イオンシネマ川口は『ブギーマン』を観た時以来の2度目だが、こんな映画館だったかな、と2度目なのに前回の記憶が蘇らず、初めて来たような感じを受けた。けっこういい映画館だ。ただアクセスが悪い。東川口駅は武蔵野線ですぐだが、そこからバスで28分もかかる。その上、イオンモールの4Fまでエレベーターで上がったあと、駐車場を通ってイオンシネマまで行かなければならない。

予告などを観ているうちに、ウトッとしてしまって、ハッとスクリーンを観るとスクリーンに「UZUMASA 太秦」と縦横に出ていた。ウトッとしたうちに始まってしまったか、と思ったら映画が始まった。

公開前に原作を読んでおこうと思って原作を読み始めたが、原作では関東大震災から始まって、ノエの生い立ちから書かれていて、伊藤野枝と大杉栄の話に興味がある私にとっては退屈で、映画を観る前に原作を読むのを断念してしまったが、映画は初めから吉高由里子が出てきて、話に入っていけた。

しかし最初は辻潤との話。先日観た『催眠』の稲垣吾郎が辻潤だった。普段はおちゃらけた雰囲気のある稲垣吾郎だが、けっこう貫禄のある演技をしていた。

平塚らいてうは松下奈緒。NHK朝ドラの『ゲゲゲの女房』のヒロインと『花子とアン』のヒロインの共演だ。『ゲゲゲの女房』は観ていたが、『花子とアン』は観ていない。そのうち観るつもりだ。

伊藤野枝が初めて演説をした際、よくあそこまでしっかりと自分の意見が言えるな、と思った。私は口下手なので、普通の話さえうまく話せないというのに。

その演説で大杉栄との接点が生まれた。永山瑛太演じる大杉栄は吃音だったが、大杉栄は実際に吃音だったのだろうか。男臭い演技というか地が男臭いのか、永山瑛太はいい味出してるなぁと思った。

美波といい、石橋蓮司といい、私が観ている連続ドラマ『仮想儀礼』に出ている。美波はどちらも気の強そうな役だが、石橋蓮司は『仮想儀礼』ではいかがわしい役だが、『風よ あらしよ』では珍しくと言ってはなんだが、まともな役を演じていた。『仮想儀礼』ではやだなといった感じを受ける人物だったが、『風よ あらしよ』では安心感のある人物を演じていた。

谷中村の事件が出てきたが、『福田村事件』を先日観て、関東大震災後に起きた福田村事件のことは知っていた。谷中村の事件は関東大震災前だが、こんなこともあったとは知らなかった。濁音が発音できない朝鮮人かどうか見分けるために「10円50銭」と言わせた、という話は『福田村事件』にも出てきた。

伊藤野枝と大杉栄の娘の魔子は何かで観たことがあると思った。大河ドラマ『光る君へ』の紫式部の子供時代かと思ったが、違かった。『グランマの憂鬱』だった。このドラマは好きで観ていた。特に子役がかわいいな、と思って観ていたが、その子役だった。加藤柚凪改め永瀬ゆずなという名前だ。『ウィッシュ』の日本語吹替版で声の出演もしているという。『ウィッシュ』は観たが、誰または何の声だったのだろう。びっくりだ。

関東大震災後に伊藤野枝と大杉栄は殺害されるというのを知っていただけに、関東大地震が襲ってきたシーンは、いよいよ来たか、といった思いがよぎった。それと同時に東日本大震災のちょっとしたトラウマか、最近はこういった大地震のシーンを観ると感情が込み上げてくる。

2024年の映画鑑賞はこれで27本目。
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