滝和也

スーパーマン リターンズの滝和也のレビュー・感想・評価

スーパーマン リターンズ(2006年製作の映画)
3.7
人の命が危うく
なりし時、
助けの声が響く時、
そして悪が蔓延る時、

弾よりも疾き鋼鉄の男は
復活する!

前シリーズへの熱き
リスペクトを持つ…

「スーパーマン リターンズ」

スーパーヒーローモノの原点であり、DCコミックスの代名詞でもあるスーパーマン。クリストファー・リーブ主演の前シリーズの正統続編ですね。

スーパーマンは5年前、故郷クリプトン星の調査に出発。地球から姿を消した。調査を終え帰還した彼はクラーク・ケントとしてデイリープラネット社に復帰するが、嘗てスーパーマンとして愛したロイス・レーンは5歳の子を持つ母親となっており、恋人と婚約中だった。その中宿敵レックス・ルーサーは法の編みをかいくぐり、出獄。悪の頭脳でスーパーマンに対決を挑む!

懐かしのジョン・ウィリアムズのテーマにのり、スーパーマンの活躍を描く今作はリーブ主演の前シリーズに感銘を受けたと言うブライアン・シンガーが監督。旧作へのリスペクト、オマージュに長けていて、私のような旧作ファンには懐かしさすら感じ、すんなりと世界観に入っていける。前シリーズでの北極にあったスーパーマンの父ジョーエルの遺産が鍵になったり、ロイスとの甘い空中散歩など上手くシリーズを引き継いでいます。(マーロン・ブランドも出てます)

またスーパーマンの万能さ、強さは全ヒーローの中でも断トツで、他のヒーローと絡むと浮き上がり、どうにも作品のバランスを破壊してしまうのですが、単体となればその圧倒的な力のダイナミズムが作品の鍵となります。その点に関しても前半部のシャトル事故救出のシークエンスは出色の出来でXメン監督のシンガーならではですね。後半部のメトロポリスの災害救助シークエンスもスーパーマンならではのダイナミックさがあり、楽しめます。監督がスーパーマンの能力の引出しを全て使いますし、またその弱点も…。

ストーリーとしてはロイス親子との関係性が主となり、ややアクションには欠けるものの(ロイスとの関係が主になれば甘めになりがち)新機軸が盛り込まれており、そこは大胆さに好感を持ちました。まぁ敵がレックス・ルーサーですから肉弾戦には基本成り得ないですからね。(あくまで基本ですが…笑)

主演、スーパーマン、クラーク・ケントにブランドン・ラウス。クリストファー・リーブに面影がそっくりで、正義の超人にピタリとハマってます。旧作ファンがすんなり入れるのは彼の功績も大きいですね。惜しむらくは続編を見たかった。ロイスにケイト・ボスワース、こちらも気の強い仕事ができる美女役に合ってました。

レックスにはケヴィン・スペイシー。コチラも悪役はハマり役ではあるのですが(笑)、前シリーズのジーン・ハックマンはやはり超えられない。ラストの顛末のイマイチさが役を弱めてますし。もう少し派手にやられてくれないと(笑)

後半の最大のアクションが一般市民には真相が分からず、市民の喝采を浴びると言うスーパーマンらしいシーンがなく、盛り上がりに欠ける点はあるものの、新機軸+リスペクト部分にかなり好感が持てヒーローモノの再始動としては良い作品だと思いました。

残念ながら、諸事情で2作目はなく、マンオブスティールでリブートになってしまいましたが、もう一本ブランドン主演が見たかった気がします(^^)
滝和也

滝和也