滝和也

獄門島の滝和也のレビュー・感想・評価

獄門島(1977年製作の映画)
3.5
終戦…愛する人の
戦地からの帰還を
待つ島の人々…
そこに1人の男が
凶報をもたらす…
それはまるで死神が
冥府への扉を開くが如く…
石坂浩二金田一シリーズ第三弾!

「獄門島」

池の足は犬神家、樽の首は悪魔の手毬唄、そして鐘といえば獄門島ですね(^_^) 印象的な見立て殺人現場と因習に囚われた旧家そして荒涼とした日本の原風景である土着的な村…。今回も横溝正史の世界に市川崑が誘います。

友人の雨宮に頼まれ、金田一はある男の戦死を知らせるために瀬戸内海の孤島、獄門島へ向かう。ある男とは島を二分する鬼頭家の本家の跡取り千万太だった。その同日、分家の人志生還の知らせが入ったばかりであった。寺の住職に案内された金田一だったが…その夜から惨劇の幕が開く…。

今回は瀬戸内海に浮かぶ孤島。故に外から出入りはできないとは思いきや…海賊の生き残りがうろついているって…紛れを起こすネタにしてはちょっと無理が…(笑)今作の設定はこちらを筆頭にやや無理がある気が…。うーん、少し描写不足な気がします。特に犯人像が。見た方にはわかるんですが、今回はいつもとは…なので。このあたりが、悪魔の手毬唄や犬神家に劣る理由かもしれません。

鐘のトリックは伏線含め面白いのですが、他はややトリックが弱く、消去法で犯人が見えてしまうのもどうかなと。毎回その犯人の奥底にある部分を自力で金田一が掘り起こすんですが、今作はそれがないんです。絶海の孤島で動けないのもあるかもしれません。

いつものおどろおどろしさや金田一の飄々とした石坂浩二さんの演技、轟警部のよーし!わかった!など定番のムーブ(笑)は確立されてますし、坂口良子さんの息抜き役も復活してます。説明役で出てくる大滝秀治さんもか(笑)

また今作は佐分利信や稲葉義男、東野英治郎と言った大御所も参戦してきていて、演技面では抜かりはなく、手堅い布陣だと思います。水戸黄門のイメージから、東野英治郎さんは少し驚きがあるかもしれませんね。また全盛期の大原麗子さんの美しさ、若手時代の浅野ゆう子さんの白痴的演技もあり、見どころは多いと思います。

金田一は基本…誰も〇〇〇〇ないので何とかしろやという声もありますが…まぁ心を救えていると考えれば救えている方もいますので…(笑)
滝和也

滝和也