回想シーンでご飯3杯いける

Brother ブラザー 富都(プドゥ)のふたり/アバンとアディの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

3.7
マレーシアの貧困層地区で暮らす兄弟の話。聾唖者のアバンと、素行の悪いアディ。2人は事情により身分証明書を発行してもらえず、そのせいで銀行口座も作れない。

マレーシアが舞台だが、台詞は中国語で、映画のテイストとしては台湾映画を思わせる。マレーシアは多民族国家で、実際に中国語を話す華僑系も多く暮らしているらしい。本作はそこを切り取った話なのだろう。

台湾の社会問題を扱う映画と同様に、本作も救いようのない辛辣な描写が続く。しかし金馬賞主演男優賞を受賞しているアバン役のウー・カンレンを筆頭に、若者のまっすぐな眼差しが印象的で、心にヒリヒリと焼き付くような魅力がある。

大きな見せ場となる終盤ではあるが、やや長回しが多過ぎるように感じる。敢えてバッサリ簡潔に描いた方が良かったと思う。