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ゴーストバスターズ/フローズン・サマーの教授のレビュー・感想・評価

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それなりに、という意味では充分楽しかった映画。なのだが、一方で脚本の不備や設定の甘さで物語運びがとっ散らかっているし、雑にも感じる微妙な出来。

しかし面白く観ることができたところはとても多い。
前作に引き続いて新ゴーストバスターズたちは俳優たちの魅力が溢れていて、それだけでも合格点。

MCU「アントマン」を経てポール・ラッドの愛すべきキャラクターとしての安定感はさすが。正直キャリー・クーンは魅力を発揮できているかは微妙なところだが、なんといっても、マッケンナ・グレイス、フィン・ウルフハードは本シリーズの魅力のアップデートに大きく貢献している。
前作でウザキャラだったポッドキャスト(ローガン・キム)も本作ではなかなか昇格したキャラクターだし、面白みで言えばナディーム(クメイル・ナンジアニ)は「エターナルズ」に引き続いて「良い感じ」である。

バスターズたちの「ガジェット」的な魅力もより魅力が増して映像的なルックのスピーディーな演出に相まって、この手の映画の魅力を割増している。

その点はそこまでストレスはないのだが、まず冒頭の1904年のシーンのファーストカットのCGの残念さ。次のカットではセットで表現されているからこそ、その画面的質感のズレがあまりにも酷い。

そして作劇的に「主人公の過失」によるマッチポンプという多くの作品がやらかし続けている失敗を学ばないストーリー。
加えて「家族の絆」に回収する話運びとメロディ(エミリー・アリン・リンド)とのエピソードが噛み合わない上に、性急で実感に乏しい。
加えて映像的に「リアル」方向の画面作りの為、物語上の出来事の悲惨さのスペクタクルに対しての主人公の過失が相殺されない。
にもかかわらず「ゴーストバスターズ!」と喝采で終わるラストには頭を抱えてしまった。
全ては書ききれないが、他にも無数にイライラさせられるところがあったりもする。

とはいえ、上映終了後に観客のお爺さんが「こんなに面白い映画はないよ!それに僕も幽霊かもしれないよ」と面白いことを言っていたので劇場で観て良かった。
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