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Unrest(英題)
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『Unrest(英題)』に投稿された感想・評価

4.4
スイスのある小さな時計工場ではアナキズムが密かに浸透していた。そこに地図を作成していたクロポトキンがやって来て...というお話

フォロワーさんからオススメされて気になっていた映画だったのだが、なんとカイエ・デュ・シネマの年間ベストにランクインされていて驚いた。

本作はかなり独特なスタイルを取っている。スイスの時計工場で働く女性を主人公にアナキズムの浸透を描くのだが、その側面にピョートル・クロポトキンの地図作成の様子が描かれる。劇中では様々な出来事が描かれるものの、殆ど映像で見せられることはなく、物語と映像の殆どは労働者の姿と遠景から風景を切り取ったようなショットで映される町の様子ぐらいしか描かれない。しかし確実にアナキズムの思想は潜在的に浸透しており、労働者の姿を映すことでその流れを明らかにさせる手法が面白い。タイトルである「Unrest」は様々な意味を帯びているのだが、「不安」を意味していると同時に時計のある部分を示唆している。その部分は本作の物語構造、そしてピョートル・クロポトキンのキャラクター性を象徴しているようで良かった。

そしてまた良いのが、時計を作る労働作業。繊細な作業が求められる職業の特性故にテレビで作業風景が特集されやすい作業であるが、本作はその作業風景に作業のノルマを課すことで緊張が張り詰めた映像となっており面白かった。これがまさに資本主義の加速であるからこそ、アナキズムの浸透という物語も意味のあるものになる。
あと空間と人物の動作を捉えたような俯瞰ショットが頻繁に現れるから良い。俺は俯瞰ショットが大好きなので...

何も知らない状態で見てしまったので、とりあえずピョートル・クロポトキンとアナキズムの時代背景を頭に入れた上でもう1度見直したいが、自分好みの要素が詰め込まれていてなかなか面白かった。シリル・ショーブリン監督は今後も追いたいな...
4.0
【この世にはさまざまな時間が流れている】
本作は時計工場を軸に、この世の「時」を切り取ろうとしている。19世紀、写真を撮る時には静止した時を作る必要がある。時計を組み立てる時、チクタクチクタクと忙しなく動く小さな機械や工場の大きな機械運動の中で労働者が繊細な組み立て工程に従事する。労働者自身が、時計の部品のようにシステマティックな時に押し込められている。映画は豊かな時間配分の中で、窮屈そうな労働者像を捉え、そこから労働組合の活動へと着目する。チャップリンが『モダン・タイムス』で機械的に動く労働者を皮肉ることで、社会システムの問題を指摘したが、『UNREST』は時間の観点から掘り下げていく内容だ。このアプローチは意外と観られないものである。時計の組み立て工程が魅力的に撮られていることもあり、この世界観に惹き込まれた。

P.S.カイエ・デュ・シネマベスト2023に選出されました。

カイエ・デュ・シネマベスト2023全作品解説【映画雑談ラジオ】▼
https://m.youtube.com/watch?v=hlE4lf63934&t=2259s
akrutm
3.9
スイス西部のジュラ山脈にある時計工業で働く19世紀後半の労働者たちを、当時の労働運動やアナキズム(無政府主義)の文脈で描く出す、シリル・ショーブリン監督による歴史ドラマ映画。シリル・ショーブリン監督にとって長編2作目となる本作によって、第72回(2022年)ベルリン国際映画祭エンカウンターズ部門の最優秀監督賞を受賞している。

時計産業と言えばスイスをすぐに思い浮かべるが、そのスイスが世界一の時計王国となるのは、本作で描かれている19世紀後半のこと。そのまさに中心地が、本作の舞台となるジュラ地方。シリル・ショーブリン監督の先祖もジュラの時計職人だったとか。時計を組み立てる過程が映像にも多く出てくるが、特に主人公の時計職人の女性ジョセフィーヌが扱っているのが、タイトルにもなっている unrest wheel(日本語ではテンプと言うらしい)と呼ばれる歯車。この歯車が組立てられ、精巧な機械式時計が正確に時を刻んでいく様子は美しく、荘厳でもある。

しかし同時に、経営側から秒刻みで作業時間の短縮を求められたり(労働者のおかげで正確に時間を計測できるようになったことが、労働者自身の首を絞めるという皮肉!)、低賃金で税金を納められないために逮捕されたりと、労働者たちの厳しい労働環境も描かれていて、それに対して世界的に広がっている労働運動が本作の中心テーマとなる。そして、そのような状況でこの地を訪れるのが、ロシアの地図製作者であるピョートル・クロポトキンという、アナキズム(無政府主義)の発展に寄与した人物である。彼が実際にスイスを訪れたのが1872年であることから、本映画の時代も1872年であることがわかる。映画の冒頭では、彼の以下の言葉によって、ジュラ山脈で時計職人たちと過ごした時間が彼をアナキストにしたことが明示されている。

The independence of thought and expression which I found amongst the workers in the Swiss Jura Mountains appealed for more strongly to my feelings; and after staying a few weeks with the watchmakers, my views upon socialism were settled: I was an anarchist.

このようにかなり社会派な作品にも関わらず、基本的にストーリー性を排除した構成がとても斬新で、他の作品とは一線を画している。ストーリーは背後に押しやられて、それをなぞることさえしない。ストーリーの断片をシーンとして取り出し、ストーリー性を排除するかのように、登場人物たちにフォーカスすることなく超ロングショットを多用して映し出している。そもそも登場人物たちは画面の脇に追いやられたままのことも多く、それを自然に見せるための装置として当時の大掛かりな写真撮影が用いられているなど、とても不思議な映像である。(有名なアナーキストの写真を、アイドルのブロマイドであるかのように扱う姿も面白い。)よって、大まかな史実を知らない人にとっては、よくわからないまま終わってしまうかもしれない。さらに、テーマの内容と相反するかのような、やわらかな春の日差しの中でひなたぼっこを楽しむかのような暖かみのあるほんわりした映像も特徴的と言えるだろう。