いたがきます

ゴースト・トロピックのいたがきますのレビュー・感想・評価

ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)
4.6
何があったわけではないが、移民のマダムがただ寝過ごして、家まで歩いて帰っただけの話。
時間を楽しむ映画で、全身に染み渡る。



警備員、コンビニ、夜遊びの若者、救急外来……
夜の世界は疲れ果てていて、お節介なお母さんは浮いてしまう。まさに「移民」で、白いダウンも不安そうにぽっかり浮かんでいる。
しかし、彼女がポツポツと残すお節介は温かい。
犬と娘は自由な週末を迎え、「良かった」というセリフが染みる。

また、時間が流れていく描写があり、日が上って下りる毎日の美しさを感じられる。
「これが私の見ている世界」というのも、あのくらいの年になれば分かるのだろうか。

と言いつつ、冒頭とラストシーンを思い返すと、あのマダムは「太陽」の比喩みたいに見えてきてよい。
お天道様がたまたま夜に迷い込んだ、童話のようなお話。
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